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スマホの「最近削除」に、見覚えのない写真が一枚だけ残っていた。 夜の歩道橋。雨上がりのアスファルトが街灯を反射して、やけに明るい。画面の端に、女の人が写っている。白いコート。髪は長くて、顔は半分だけ影。いかにもそれっぽい心霊写真、って言えばそうなんだけど、妙に解像度が高い。最近の写真みたいに...
スマホの「最近追加」に、知らない写真が一枚混じっていた。夜の路地。街灯がにじむ雨の膜。その真ん中に、女が立っている。 顔は半分、フードの影で見えない。見えるほうの頬は泥みたいに黒く、口元だけが妙に白い。手には折れた透明の傘。傘の先端から、細い赤い糸が垂れていた。糸の先は地面に落ちず、画面の...
姉の友人(男)が以前、近所の女性にストーカー行為をされていました。 その女性は三十代後半の女性で、何故か自分が二十代前半のその男性の彼女だと思い込んでいるヤバい女でした。 彼女だと思い込んでいるので、当たり前のように男性の自宅アパートへ入ろうとしたり、玄関前で待ち伏せをしていました。...
この町には、口に出してはいけない名前がある。 「マガマガオンナ」。 小学生の頃、同級生がふざけて言った瞬間に保健室へ運ばれた。 理由は、喉の奥が“煤(すす)みたいに黒く”なって、声が出なくなったからだという。 大人は笑って否定した。 ただ、否定の仕方が妙に揃っていた。 「そんなもの、いる...
私のクラスに、みゆって子がいた。 いつもニコニコしてて、かわいいって言われてた。 みゆは、わたしが誰としゃべってても見てた。 男子としゃべってても、女子としゃべってても、ずっと見てた。 ある日、わたしに彼氏ができた。 放課後に一緒に帰って、手もつないで、嬉しかった。 次の日、みゆが言った...
金曜の夜、暇つぶしにマッチングアプリを入れた。顔の分かりにくい写真を一枚、自己紹介は薄く。 すぐに「Suzu(25)」から来た。 会話は普通。むしろ気が合う。 ただ、返信が速い。速すぎる。こちらがスマホを持つ前に、次の文が置かれている感じがした。 三日目、Suzuが送ってきた。 「最終ロ...
俺にはある幼なじみが居た。A実としよう。 当時の俺は鈍感すぎたのだが、今思えば好き同士だったのだろう。 A実とは話が合うのもあって、男友達よりも一緒に居ることが多かった。 話が合う、っていうのは2人とも怪談が好きだったんだ。 当時は掲示板なんかが盛んだったから、怖い話を探しては面白いのを見つけ...
私の父の実体験の話です。 私の家系は皆霊感を持っており、何かしらの心霊に度々遭遇していました。 そんな私の家系ですが、私の祖母の家系の方はお寺関係の仕事をしており、そのような環境で育った私の父は小さい頃から霊感がかなり強かったそうです。 金縛りにあったり、霊によって危険な目にあったり、お寺の...
高校2年のときの話です。幽霊とかじゃなくて、いちばん怖かったのは“人”でした。 クラスに、妙に聞き上手な子がいました。アヤって呼ばれてて、目立たないのに、誰とでも自然に仲良くなる。休み時間に隣に来て、「最近どう?」って、ほんとそれだけ。 最初は雑談でした。部活の愚痴、親のこと、好きな人のこ...
これは私の友人(女)のAが体験したお話です。 当時遠距離恋愛をしていたAは、大学の夏休み中に彼氏に黙って彼氏のアパートまで会いに行ったそうです。 サプライズで行って驚かせようとしたのだと話していました。 Aが彼氏の住むアパートに着いたのは、昼過ぎだったそうです。 二階のその部屋は間違い...
今朝、駅前のパン屋で会計してたら、後ろから「え、久しぶり」って声。振り向いたら、同じマンションの隣棟の美琴(みこと)。エレベーターでたまに見かける人。ちゃんと話したことないのに、こっちの生活だけ把握してる感じの人。 「この時間なんだ。いつも何個買うの?」 いや、その質問ナチュラルにキツい。雑...
深夜のドラッグストアで、僕は一人でレジを回していた。 午前2時を過ぎると客足はほとんど途切れ、蛍光灯の白い光だけが店内を平らに照らす。 その静けさを切るように、いつも同じ女が来る。 薄いベージュのコート、髪は整いすぎるほど整っていて、買うのは毎回きまって「絆創膏」と「ミネラルウォーター」。 ...
放課後の教室は、窓の外の部活の声だけが遠くて、黒板のチョーク粉が光って見えた。 「ねえ、今日も残る?」 振り向くと、菅野(かんの)紗良が立っていた。二年の春から同じクラスになって、最初に話しかけてきたのも彼女だ。やたらと距離が近くて、笑うときだけ目が笑わない。けれど、そういう子はクラスに一...
友達から聞いた話。昭和っぽいっていうか、母親の若い頃の話らしい。 母が高校の時、同じクラスに「彼氏に執着やばい」って有名な女の子がいたらしい。仮にAってする。 Aは付き合ってるって言い張ってたけど、周りから見ると男の方(B)は普通に引いてて、「付き合ってない」って言ってた。なのにAは毎日B...
放課後の図書室で、幼馴染の優斗はいつも隣に座る。 「紗季、またその本?」って、笑って。 昔から距離が近いのが普通だったから、私も別に気にしてなかった。 でも最近、ちょっと変だった。 スマホが急に機内モードになったり、知らない番号から無言電話が何回も来たり。 あと、家の玄関の靴が、朝と向きが...
あれは私が中学生だった時のお話です。 当時私には好きだった男の子のTくんがいて、Tくんは元々私の幼馴染の女の子と仲が良く、幼馴染を通して私もよく話すようになりそのうち本の貸し借りをしたり休日に一緒に出掛けたりするようになりました。 Tくんとは塾も同じで、タイミングが合えば一緒に帰ることもし...
美月が奈々と仲良くなったの、マジで一瞬だった。転校してきて二日目で、もう一緒にトイレ行ってる。昼休みも、私が「購買行こ」って言う前に、奈々が美月の腕引いて連れてく。 前まで、そういうの私だったのに。 「最近さ、奈々とばっかじゃん」って言ったら、美月は「え、普通に仲いいだけ」って笑った。笑っ...
あれは私が中学生だった時のお話です。 当時私には好きだった男の子のTくんがいて、Tくんは元々私の幼馴染の女の子と仲が良く、幼馴染を通して私もよく話すようになりそのうち本の貸し借りをしたり休日に一緒に出掛けたりするようになりました。 Tくんとは塾も同じで、タイミングが合えば一緒に帰ることもしばし...
その峠道は、地図アプリでも名前が出ない。仕事で地方の現場に呼ばれ、終電を逃した俺は、レンタカーで山を越える羽目になった。ナビが「最短」と言い張るルートは、街灯も民家も消え、ヘッドライトの円だけが世界を切り取っていた。 霧雨がフロントガラスに細い線を引く。ワイパーが払っても、すぐに戻ってく...
梅雨のツアーは機材が乾かない。ケースを開けるたび、雨と汗と布の匂いが混ざって鼻の奥がむずむずする。 私は三十一歳、照明の仕込み担当。地方の公共ホールを回っていると、舞台袖の壁紙の色まで似てきて、今どこにいるのか一瞬迷う。 その日入ったのは九州の港町の文化会館だった。搬入口で鍵を受け取ると、受...