本当にあった怖い話

怖い話の投稿サイト。自由に投稿やコメントができます。

お題 長編
次を知ってる女
次を知ってる女
お題 長編

次を知ってる女

1ヶ月前
怖い 7
怖くない 0
chat_bubble 0
227 views

深夜のドラッグストアで、僕は一人でレジを回していた。

午前2時を過ぎると客足はほとんど途切れ、蛍光灯の白い光だけが店内を平らに照らす。

その静けさを切るように、いつも同じ女が来る。

薄いベージュのコート、髪は整いすぎるほど整っていて、買うのは毎回きまって「絆創膏」と「ミネラルウォーター」。

会計の間、女は必ず、僕の名札の文字を読むみたいに目を滑らせた。

ある夜、ポイントカードを出す手がわずかに震えていたので、思わず「寒いですね」と声をかけた。

女は一拍置いて、笑ったのか、そうでないのか分からない口元で言った。

「……あなた、やさしいですね」

その言い方が、妙に耳に残った。

次の日から、女の買うものが増えた。

水と絆創膏に加えて、栄養ドリンク、使い捨てカイロ、そして、、僕の好きなメーカーのチョコバー。

「これ、好きそうだと思って」

女はまるで、僕がそう言ってほしいと知っているみたいに言う。

最初はありがたかった。深夜勤務は孤独だし、誰かが自分を“見てくれている”感覚は、少し心を軽くする。

でも、その“見ている”が、次第に細かくなっていった。

僕が咳をした翌日には、のど飴が増えた。

手荒れがひどいと愚痴った週には、ハンドクリームが増えた。

僕が休憩で飲んだペットボトルと同じ銘柄のものを、女も買うようになった。

そしてある夜、会計中に女がさらっと言った。

「今日、お店の裏の非常口、開けっぱなしでしたよ。危ないから、気をつけて」

その非常口は、店員でも普段は見ない場所だ。

背中の皮膚が、薄く剥がされるみたいにゾワッとした。

その日、女はいつもの水を買って、レシートを受け取らずに去った。

僕は後片付けのついでに、そのレシートを捨てようとして、裏に何かが書いてあるのに気づいた。

ボールペンで、細い文字。

「明日、あなたは“絶対に”一人になります」

「22:13に、横断歩道の信号が短いです」

「だから、走って」

冗談の類じゃない。

時間も、妙に具体的だ。

翌日、僕は店長に相談して、早上がりさせてもらった。

女の書いた時間の少し前、店を出る。

駐輪場の自転車に鍵を差すと、背後からコートの裾が擦れる音がした。

「今日は、早いんですね」

振り返ると、女がいた。

でも、いつもの整った感じじゃない。髪の毛が少し乱れ、目だけが“乾いたまま”大きい。

僕が一歩引くと、女は同じだけ近づいた。距離が、糸で引かれているみたいに一定だった。

「大丈夫。走ってって言ったでしょ。あなた、走るの得意じゃないから」

1 / 3

後日談:

後日談はまだありません。

アバター 001_001

はじめまして、よろしくお願いします。

投稿数 1
怖い評価 7
閲覧数 227

この怖い話はどうでしたか?

f X LINE

chat_bubble コメント(0件)

コメントはまだありません。

0/500

利用規約をよく読んで、同意の上でコメントしてください。

・連続コメントは禁止しておりますが、新規登録・ログインすることで、連続コメントも可能となります。

お客様の端末情報

IP:::ffff:172.30.1.71

端末:Mozilla/5.0 AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko; compatible; ClaudeBot/1.0; +claudebot@anthropic.com)

※ 不適切な投稿の抑止・対応のために記録される場合があります。

label 話題のタグ

search

【参加型】投稿企画・タイアップ企画

  • 禍禍女
  • 心霊スポット
  • 意味怖

一息で読める短い怪談

読み込み中...

じっくり染み込む中編怪談

読み込み中...

深夜に読むと戻れなくなる長編怪談

読み込み中...
chat_bubble 0