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島に渡ったのは、取材の仕事だった。人口は千人に満たない。船は一日二便。風が強いと欠航する。そういう場所だと、文章で読んだら「静か」「素朴」と書ける。でも実際は、静かだからこそ目立つし、素朴だからこそ従わせる力が強い。 私は女で、取材の名目がある。だから島の人は親切だった。荷物を運んでくれ、泊...
「今思えば、彼氏の元カノは“まがまが女”だった」 これは数年前、私がまだ都内でひとり暮らししていた頃の話です。 今でもたまに、玄関のドアスコープを覗きたくなる夜があります。 彼氏の涼(りょう)と付き合いはじめて、三ヶ月くらい経った頃。 彼は優しくて、穏やかで、怒るところを見たことがない人で...
地元に戻ったのは、母が入院したからだ。海と山に挟まれた町で、駅前の店は夕方には閉まる。夜は暗い。暗いのに、誰がどこで何をしているかは妙によく知られている。 病院の受付で名前を書いていたら、「紗枝?」と声をかけられた。振り向くと、紬(つむぎ)が立っていた。中学の同級生で、当時から人の世話を焼く...
一時期、姉がおかしかった。 ある日突然、「最近変なものがよく見える」と言い、続けて「あんたの車、運転席の窓枠から女の首が生えてるよ」と言った。 日頃から楽しい話をしてくれる人だし、テイストを変えてきたのかなと思ったけど、面白くなかったからへぇ〜と流そうとした。 そしたら、「いやマジで。多...
幼い頃から憧れていたアニメーション業界に就職した俺は、そこでとんでもない女に出会ってしまった。 俺が当時働いていた会社は都内にあるアニメの背景(風景)を専門に描く会社だった。アニメのキャラクターが活躍する舞台となる、学校や住宅街、宇宙などの背景を描く仕事だ。 大手ではないけれど、昔か...
これは祖母から聞いた戦時中のお話です。 村にヨネコさん(仮名)という当時二十歳くらいの女性がいたそうです。 大地主の娘さんで頭の良い女性だったみたいですが、兎に角性格が悪く、性格の悪さが顔にも現れていて、いつも怒っているような顔つきだったみたいです。 子どもだった祖母が通りで挨拶をしても...
高校のとき、私には「親友」がいました。 美波(みなみ)。明るくて、誰にでも平等で、私が教室で浮きそうになると必ず隣に来てくれる子。 当時の私は、家の事情で朝が弱くて、よく遅刻していました。担任に呼ばれて廊下で説教されると、決まって美波が「大丈夫だよ」と笑って、私の代わりにプリントを揃えておい...
あれは私が中学生だった時のお話です。 当時私には好きだった男の子のTくんがいて、Tくんは元々私の幼馴染の女の子と仲が良く、幼馴染を通して私もよく話すようになりそのうち本の貸し借りをしたり休日に一緒に出掛けたりするようになりました。 Tくんとは塾も同じで、タイミングが合えば一緒に帰ることもし...
これは、私が知人から聞いた話です・・・・・・ 知人の通う大学にH子(仮名)という女子学生がいるそうです。 そのH子が、ある時から 「あたし、K君(仮名)からストーキングされてるみたいなのぉ。」 と周囲に吹聴して回り始めたそうです。 K君と言えば、明るくて誰からも好かれる大学一の爽やかイケ...
これは私が高校生の頃に実際に親友が体験した話になります。 直接私が体験したことではないので、本当にあったのか真実はわかりません。 でも親友の“状況”的に実際にあったのだと思っています。 だいぶ閲覧注意のお話になります。 その頃、同じ美術部で親友だったアケミ(仮名)には、でき...
"常連"という言葉、皆さんはどこをラインとして考えますか? 私は店側の人間がその人をその人だと認識出来るようになった時、初めて"常連"となるのかな、と思っています。 その人の好みは勿論のこと、声で判断出来るようになったり、すれ違った時に認識出来たり、会話が盛り上がったり。 常連って響き、一...
町に戻ったのは、祖母の葬式がきっかけだった。山に囲まれた小さな集落で、夜は虫の声しか聞こえない。東京での生活に慣れた身には、空気が濃すぎるくらいだった。 葬式のあと、古い同級生たちが公民館に集まり、酒を飲んだ。そこで再会したのが紗世(さよ)だ。高校の頃、よく笑う子だったはずなのに、今は笑う前...
引っ越したばかりの部屋は、きれいだった。駅近、築浅、家賃も相場より少し安い。唯一の難点は、寝室のクローゼットがやけに大きいことだった。奥行きが深く、扉の取っ手だけが妙に冷たい。 最初の夜、寝返りのたびに「すっ」と布が擦れる音がした。風だろう、と自分に言い聞かせた。だが二日目、クローゼット...
これは私の友人(女)のAが体験したお話です。 当時遠距離恋愛をしていたAは、大学の夏休み中に彼氏に黙って彼氏のアパートまで会いに行ったそうです。 サプライズで行って驚かせようとしたのだと話していました。 Aが彼氏の住むアパートに着いたのは、昼過ぎだったそうです。 二階のその部屋は間違い...
その峠道は、地図アプリでも名前が出ない。仕事で地方の現場に呼ばれ、終電を逃した俺は、レンタカーで山を越える羽目になった。ナビが「最短」と言い張るルートは、街灯も民家も消え、ヘッドライトの円だけが世界を切り取っていた。 霧雨がフロントガラスに細い線を引く。ワイパーが払っても、すぐに戻ってく...
その温泉旅館は、山あいの川沿いにひっそり建っていた。社員旅行の幹事を押し付けられた俺は、予算と立地だけでそこを選んだ。サイトの写真は綺麗だったし、口コミも悪くない。 ただ、到着してすぐに気づいた。廊下が、やけに静かすぎる。客が多いはずなのに、足音も笑い声も薄く、襖の向こうから聞こえるのは川の音...
この町には、口に出してはいけない名前がある。 「マガマガオンナ」。 小学生の頃、同級生がふざけて言った瞬間に保健室へ運ばれた。 理由は、喉の奥が“煤(すす)みたいに黒く”なって、声が出なくなったからだという。 大人は笑って否定した。 ただ、否定の仕方が妙に揃っていた。 「そんなもの、いる...
まだ母が若い頃、職場である病院にYさんという変わった患者さんがいたそうです。 その患者さんは、若い女性で何故か数ヶ月おきに入院していて、しかも毎回“不可解な怪我”で入院していたのです。 階段で転倒して足の骨を折った。 家のドアに指を挟んで指の骨を折った。 毎回そんな不可解な状...
私のクラスに、みゆって子がいた。 いつもニコニコしてて、かわいいって言われてた。 みゆは、わたしが誰としゃべってても見てた。 男子としゃべってても、女子としゃべってても、ずっと見てた。 ある日、わたしに彼氏ができた。 放課後に一緒に帰って、手もつないで、嬉しかった。 次の日、みゆが言った...
深夜のドラッグストアで、僕は一人でレジを回していた。 午前2時を過ぎると客足はほとんど途切れ、蛍光灯の白い光だけが店内を平らに照らす。 その静けさを切るように、いつも同じ女が来る。 薄いベージュのコート、髪は整いすぎるほど整っていて、買うのは毎回きまって「絆創膏」と「ミネラルウォーター」。 ...