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健人が最近、昼休みになるとすぐ教室出る。前は席でだらだらしてたのに。今は廊下で誰か待って、そのまま一緒に行く。 相手は優菜。 優菜って、特別うるさいわけじゃないのに、男子の前だとちょい声変わる。笑い方も「ウケる〜」って感じで、健人がそれで普通に笑う。こっちは机に座ってるだけで、置いてかれる...
今朝、駅前のパン屋で会計してたら、後ろから「え、久しぶり」って声。振り向いたら、同じマンションの隣棟の美琴(みこと)。エレベーターでたまに見かける人。ちゃんと話したことないのに、こっちの生活だけ把握してる感じの人。 「この時間なんだ。いつも何個買うの?」 いや、その質問ナチュラルにキツい。雑...
島に渡ったのは、取材の仕事だった。人口は千人に満たない。船は一日二便。風が強いと欠航する。そういう場所だと、文章で読んだら「静か」「素朴」と書ける。でも実際は、静かだからこそ目立つし、素朴だからこそ従わせる力が強い。 私は女で、取材の名目がある。だから島の人は親切だった。荷物を運んでくれ、泊...
その温泉旅館は、山あいの川沿いにひっそり建っていた。社員旅行の幹事を押し付けられた俺は、予算と立地だけでそこを選んだ。サイトの写真は綺麗だったし、口コミも悪くない。 ただ、到着してすぐに気づいた。廊下が、やけに静かすぎる。客が多いはずなのに、足音も笑い声も薄く、襖の向こうから聞こえるのは川の音...
スマホの「最近追加」に、知らない写真が一枚混じっていた。夜の路地。街灯がにじむ雨の膜。その真ん中に、女が立っている。 顔は半分、フードの影で見えない。見えるほうの頬は泥みたいに黒く、口元だけが妙に白い。手には折れた透明の傘。傘の先端から、細い赤い糸が垂れていた。糸の先は地面に落ちず、画面の...
十月の終わり、長野の山あいの小さな温泉宿は、紅葉目当ての客でぎりぎり回っていた。僕はフロント兼雑用の季節スタッフで、チェックインから布団運びまで何でもやる。都会のホテルみたいに分業がない分、客の顔はすぐ覚える。 その週に来た夫婦も、初日で印象に残った。男は声が大きくて、廊下でも平気で電話する...
「今思えば、彼氏の元カノは“まがまが女”だった」 これは数年前、私がまだ都内でひとり暮らししていた頃の話です。 今でもたまに、玄関のドアスコープを覗きたくなる夜があります。 彼氏の涼(りょう)と付き合いはじめて、三ヶ月くらい経った頃。 彼は優しくて、穏やかで、怒るところを見たことがない人で...
梅雨のツアーは機材が乾かない。ケースを開けるたび、雨と汗と布の匂いが混ざって鼻の奥がむずむずする。 私は三十一歳、照明の仕込み担当。地方の公共ホールを回っていると、舞台袖の壁紙の色まで似てきて、今どこにいるのか一瞬迷う。 その日入ったのは九州の港町の文化会館だった。搬入口で鍵を受け取ると、受...
あれは私が中学生だった時のお話です。 当時私には好きだった男の子のTくんがいて、Tくんは元々私の幼馴染の女の子と仲が良く、幼馴染を通して私もよく話すようになりそのうち本の貸し借りをしたり休日に一緒に出掛けたりするようになりました。 Tくんとは塾も同じで、タイミングが合えば一緒に帰ることもし...
スマホの「最近削除」に、見覚えのない写真が一枚だけ残っていた。 夜の歩道橋。雨上がりのアスファルトが街灯を反射して、やけに明るい。画面の端に、女の人が写っている。白いコート。髪は長くて、顔は半分だけ影。いかにもそれっぽい心霊写真、って言えばそうなんだけど、妙に解像度が高い。最近の写真みたいに...
私のクラスに、みゆって子がいた。 いつもニコニコしてて、かわいいって言われてた。 みゆは、わたしが誰としゃべってても見てた。 男子としゃべってても、女子としゃべってても、ずっと見てた。 ある日、わたしに彼氏ができた。 放課後に一緒に帰って、手もつないで、嬉しかった。 次の日、みゆが言った...
美月が奈々と仲良くなったの、マジで一瞬だった。転校してきて二日目で、もう一緒にトイレ行ってる。昼休みも、私が「購買行こ」って言う前に、奈々が美月の腕引いて連れてく。 前まで、そういうの私だったのに。 「最近さ、奈々とばっかじゃん」って言ったら、美月は「え、普通に仲いいだけ」って笑った。笑っ...
ミウと付き合い始めて三週間で、俺のスマホは俺のものじゃなくなった。通知が鳴るたび彼女の指が先に伸び、「誰?」「何の用?」と画面を覗き込む。会社の女の同僚に「お疲れさま」と返しただけで、ミウはその晩、俺の指先を握って泣いた。「置いていかないで」と。 最初は愛情だと思った。前の恋で傷ついたらしい...
これは私の友人(女)のAが体験したお話です。 当時遠距離恋愛をしていたAは、大学の夏休み中に彼氏に黙って彼氏のアパートまで会いに行ったそうです。 サプライズで行って驚かせようとしたのだと話していました。 Aが彼氏の住むアパートに着いたのは、昼過ぎだったそうです。 二階のその部屋は間違い...
地元に戻ったのは、母が入院したからだ。海と山に挟まれた町で、駅前の店は夕方には閉まる。夜は暗い。暗いのに、誰がどこで何をしているかは妙によく知られている。 病院の受付で名前を書いていたら、「紗枝?」と声をかけられた。振り向くと、紬(つむぎ)が立っていた。中学の同級生で、当時から人の世話を焼く...
俺にはある幼なじみが居た。A実としよう。 当時の俺は鈍感すぎたのだが、今思えば好き同士だったのだろう。 A実とは話が合うのもあって、男友達よりも一緒に居ることが多かった。 話が合う、っていうのは2人とも怪談が好きだったんだ。 当時は掲示板なんかが盛んだったから、怖い話を探しては面白いのを見つけ...
一時期、姉がおかしかった。 ある日突然、「最近変なものがよく見える」と言い、続けて「あんたの車、運転席の窓枠から女の首が生えてるよ」と言った。 日頃から楽しい話をしてくれる人だし、テイストを変えてきたのかなと思ったけど、面白くなかったからへぇ〜と流そうとした。 そしたら、「いやマジで。多...
高校2年のときの話です。幽霊とかじゃなくて、いちばん怖かったのは“人”でした。 クラスに、妙に聞き上手な子がいました。アヤって呼ばれてて、目立たないのに、誰とでも自然に仲良くなる。休み時間に隣に来て、「最近どう?」って、ほんとそれだけ。 最初は雑談でした。部活の愚痴、親のこと、好きな人のこ...
引っ越したばかりの部屋は、きれいだった。駅近、築浅、家賃も相場より少し安い。唯一の難点は、寝室のクローゼットがやけに大きいことだった。奥行きが深く、扉の取っ手だけが妙に冷たい。 最初の夜、寝返りのたびに「すっ」と布が擦れる音がした。風だろう、と自分に言い聞かせた。だが二日目、クローゼット...
町に戻ったのは、祖母の葬式がきっかけだった。山に囲まれた小さな集落で、夜は虫の声しか聞こえない。東京での生活に慣れた身には、空気が濃すぎるくらいだった。 葬式のあと、古い同級生たちが公民館に集まり、酒を飲んだ。そこで再会したのが紗世(さよ)だ。高校の頃、よく笑う子だったはずなのに、今は笑う前...