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幼い頃から憧れていたアニメーション業界に就職した俺は、そこでとんでもない女に出会ってしまった。 俺が当時働いていた会社は都内にあるアニメの背景(風景)を専門に描く会社だった。アニメのキャラクターが活躍する舞台となる、学校や住宅街、宇宙などの背景を描く仕事だ。 大手ではないけれど、昔か...
一時期、姉がおかしかった。 ある日突然、「最近変なものがよく見える」と言い、続けて「あんたの車、運転席の窓枠から女の首が生えてるよ」と言った。 日頃から楽しい話をしてくれる人だし、テイストを変えてきたのかなと思ったけど、面白くなかったからへぇ〜と流そうとした。 そしたら、「いやマジで。多...
姉の友人(男)が以前、近所の女性にストーカー行為をされていました。 その女性は三十代後半の女性で、何故か自分が二十代前半のその男性の彼女だと思い込んでいるヤバい女でした。 彼女だと思い込んでいるので、当たり前のように男性の自宅アパートへ入ろうとしたり、玄関前で待ち伏せをしていました。...
これは、私が知人から聞いた話です・・・・・・ 知人の通う大学にH子(仮名)という女子学生がいるそうです。 そのH子が、ある時から 「あたし、K君(仮名)からストーキングされてるみたいなのぉ。」 と周囲に吹聴して回り始めたそうです。 K君と言えば、明るくて誰からも好かれる大学一の爽やかイケ...
梅雨のツアーは機材が乾かない。ケースを開けるたび、雨と汗と布の匂いが混ざって鼻の奥がむずむずする。 私は三十一歳、照明の仕込み担当。地方の公共ホールを回っていると、舞台袖の壁紙の色まで似てきて、今どこにいるのか一瞬迷う。 その日入ったのは九州の港町の文化会館だった。搬入口で鍵を受け取ると、受...
ミウと付き合い始めて三週間で、俺のスマホは俺のものじゃなくなった。通知が鳴るたび彼女の指が先に伸び、「誰?」「何の用?」と画面を覗き込む。会社の女の同僚に「お疲れさま」と返しただけで、ミウはその晩、俺の指先を握って泣いた。「置いていかないで」と。 最初は愛情だと思った。前の恋で傷ついたらしい...
町に戻ったのは、祖母の葬式がきっかけだった。山に囲まれた小さな集落で、夜は虫の声しか聞こえない。東京での生活に慣れた身には、空気が濃すぎるくらいだった。 葬式のあと、古い同級生たちが公民館に集まり、酒を飲んだ。そこで再会したのが紗世(さよ)だ。高校の頃、よく笑う子だったはずなのに、今は笑う前...
この町には、口に出してはいけない名前がある。 「マガマガオンナ」。 小学生の頃、同級生がふざけて言った瞬間に保健室へ運ばれた。 理由は、喉の奥が“煤(すす)みたいに黒く”なって、声が出なくなったからだという。 大人は笑って否定した。 ただ、否定の仕方が妙に揃っていた。 「そんなもの、いる...
スマホの「最近削除」に、見覚えのない写真が一枚だけ残っていた。 夜の歩道橋。雨上がりのアスファルトが街灯を反射して、やけに明るい。画面の端に、女の人が写っている。白いコート。髪は長くて、顔は半分だけ影。いかにもそれっぽい心霊写真、って言えばそうなんだけど、妙に解像度が高い。最近の写真みたいに...
健人が最近、昼休みになるとすぐ教室出る。前は席でだらだらしてたのに。今は廊下で誰か待って、そのまま一緒に行く。 相手は優菜。 優菜って、特別うるさいわけじゃないのに、男子の前だとちょい声変わる。笑い方も「ウケる〜」って感じで、健人がそれで普通に笑う。こっちは机に座ってるだけで、置いてかれる...
美月が奈々と仲良くなったの、マジで一瞬だった。転校してきて二日目で、もう一緒にトイレ行ってる。昼休みも、私が「購買行こ」って言う前に、奈々が美月の腕引いて連れてく。 前まで、そういうの私だったのに。 「最近さ、奈々とばっかじゃん」って言ったら、美月は「え、普通に仲いいだけ」って笑った。笑っ...
夜明け前、震える指で退職代行に電話した。喉が詰まって社名すら言えない俺に、受話器の向こうの女は名乗りもせず、やけに明るい声で言った。 「大丈夫。あなた、優しすぎるだけ。辞めるって言えない人、私が一番得意なんです」 会社名と部署を伝えると、女はすぐ復唱した。言い方が妙に親しい。 「うん、そこね...
大学1年の冬、終電を逃しかけて駅まで急いでいた夜の話です。 あれは怖いというより、気持ち悪いほど“惚れられた”感じが残っています。 商店街の裏道。街灯が薄くにじんで、空気だけが湿っていました。 背後から「ねえ」と呼ばれて振り返ると、黒いコートの女の人が立っていた。髪から水が落ちているのに、路...
高校2年のときの話です。幽霊とかじゃなくて、いちばん怖かったのは“人”でした。 クラスに、妙に聞き上手な子がいました。アヤって呼ばれてて、目立たないのに、誰とでも自然に仲良くなる。休み時間に隣に来て、「最近どう?」って、ほんとそれだけ。 最初は雑談でした。部活の愚痴、親のこと、好きな人のこ...
「今思えば、彼氏の元カノは“まがまが女”だった」 これは数年前、私がまだ都内でひとり暮らししていた頃の話です。 今でもたまに、玄関のドアスコープを覗きたくなる夜があります。 彼氏の涼(りょう)と付き合いはじめて、三ヶ月くらい経った頃。 彼は優しくて、穏やかで、怒るところを見たことがない人で...
高校のとき、私には「親友」がいました。 美波(みなみ)。明るくて、誰にでも平等で、私が教室で浮きそうになると必ず隣に来てくれる子。 当時の私は、家の事情で朝が弱くて、よく遅刻していました。担任に呼ばれて廊下で説教されると、決まって美波が「大丈夫だよ」と笑って、私の代わりにプリントを揃えておい...
放課後の図書室で、幼馴染の優斗はいつも隣に座る。 「紗季、またその本?」って、笑って。 昔から距離が近いのが普通だったから、私も別に気にしてなかった。 でも最近、ちょっと変だった。 スマホが急に機内モードになったり、知らない番号から無言電話が何回も来たり。 あと、家の玄関の靴が、朝と向きが...
金曜の夜、暇つぶしにマッチングアプリを入れた。顔の分かりにくい写真を一枚、自己紹介は薄く。 すぐに「Suzu(25)」から来た。 会話は普通。むしろ気が合う。 ただ、返信が速い。速すぎる。こちらがスマホを持つ前に、次の文が置かれている感じがした。 三日目、Suzuが送ってきた。 「最終ロ...
放課後の教室は、窓の外の部活の声だけが遠くて、黒板のチョーク粉が光って見えた。 「ねえ、今日も残る?」 振り向くと、菅野(かんの)紗良が立っていた。二年の春から同じクラスになって、最初に話しかけてきたのも彼女だ。やたらと距離が近くて、笑うときだけ目が笑わない。けれど、そういう子はクラスに一...
私のクラスに、みゆって子がいた。 いつもニコニコしてて、かわいいって言われてた。 みゆは、わたしが誰としゃべってても見てた。 男子としゃべってても、女子としゃべってても、ずっと見てた。 ある日、わたしに彼氏ができた。 放課後に一緒に帰って、手もつないで、嬉しかった。 次の日、みゆが言った...