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ミウと付き合い始めて三週間で、俺のスマホは俺のものじゃなくなった。通知が鳴るたび彼女の指が先に伸び、「誰?」「何の用?」と画面を覗き込む。会社の女の同僚に「お疲れさま」と返しただけで、ミウはその晩、俺の指先を握って泣いた。「置いていかないで」と。 最初は愛情だと思った。前の恋で傷ついたらしい...
エレベーターの「4階」を押した。 扉が閉まりかけた瞬間、白い手がスッと差し込まれて止まる。入ってきたのは、薄いベージュのコートの女。髪は濡れていて、雨の匂いがしない。目だけが乾いていた。 女は何も言わず、ボタンの列をじっと見たまま、ゆっくりと「4」を押す。 僕が押したのと同じ階だ。 「同...
保育園の送り迎えって、いつの間にか“顔見知り”が増える。 朝の挨拶、ちょっとした世間話、子どもの靴が左右逆だったね、なんて笑い合う。そういう日常の延長に、彼女、美咲さんはいた。 妻のママ友だ。 最初は感じのいい人だった。身だしなみはいつも整っていて、声はやわらかい。 「奥さん、疲れてない?...
高校2年のときの話です。幽霊とかじゃなくて、いちばん怖かったのは“人”でした。 クラスに、妙に聞き上手な子がいました。アヤって呼ばれてて、目立たないのに、誰とでも自然に仲良くなる。休み時間に隣に来て、「最近どう?」って、ほんとそれだけ。 最初は雑談でした。部活の愚痴、親のこと、好きな人のこ...
これは、私が知人から聞いた話です・・・・・・ 知人の通う大学にH子(仮名)という女子学生がいるそうです。 そのH子が、ある時から 「あたし、K君(仮名)からストーキングされてるみたいなのぉ。」 と周囲に吹聴して回り始めたそうです。 K君と言えば、明るくて誰からも好かれる大学一の爽やかイケ...
これは私の友人(女)のAが体験したお話です。 当時遠距離恋愛をしていたAは、大学の夏休み中に彼氏に黙って彼氏のアパートまで会いに行ったそうです。 サプライズで行って驚かせようとしたのだと話していました。 Aが彼氏の住むアパートに着いたのは、昼過ぎだったそうです。 二階のその部屋は間違い...
幼い頃から憧れていたアニメーション業界に就職した俺は、そこでとんでもない女に出会ってしまった。 俺が当時働いていた会社は都内にあるアニメの背景(風景)を専門に描く会社だった。アニメのキャラクターが活躍する舞台となる、学校や住宅街、宇宙などの背景を描く仕事だ。 大手ではないけれど、昔か...
高校のとき、私には「親友」がいました。 美波(みなみ)。明るくて、誰にでも平等で、私が教室で浮きそうになると必ず隣に来てくれる子。 当時の私は、家の事情で朝が弱くて、よく遅刻していました。担任に呼ばれて廊下で説教されると、決まって美波が「大丈夫だよ」と笑って、私の代わりにプリントを揃えておい...
一時期、姉がおかしかった。 ある日突然、「最近変なものがよく見える」と言い、続けて「あんたの車、運転席の窓枠から女の首が生えてるよ」と言った。 日頃から楽しい話をしてくれる人だし、テイストを変えてきたのかなと思ったけど、面白くなかったからへぇ〜と流そうとした。 そしたら、「いやマジで。多...
町に戻ったのは、祖母の葬式がきっかけだった。山に囲まれた小さな集落で、夜は虫の声しか聞こえない。東京での生活に慣れた身には、空気が濃すぎるくらいだった。 葬式のあと、古い同級生たちが公民館に集まり、酒を飲んだ。そこで再会したのが紗世(さよ)だ。高校の頃、よく笑う子だったはずなのに、今は笑う前...
今朝、駅前のパン屋で会計してたら、後ろから「え、久しぶり」って声。振り向いたら、同じマンションの隣棟の美琴(みこと)。エレベーターでたまに見かける人。ちゃんと話したことないのに、こっちの生活だけ把握してる感じの人。 「この時間なんだ。いつも何個買うの?」 いや、その質問ナチュラルにキツい。雑...
深夜のドラッグストアで、僕は一人でレジを回していた。 午前2時を過ぎると客足はほとんど途切れ、蛍光灯の白い光だけが店内を平らに照らす。 その静けさを切るように、いつも同じ女が来る。 薄いベージュのコート、髪は整いすぎるほど整っていて、買うのは毎回きまって「絆創膏」と「ミネラルウォーター」。 ...
"常連"という言葉、皆さんはどこをラインとして考えますか? 私は店側の人間がその人をその人だと認識出来るようになった時、初めて"常連"となるのかな、と思っています。 その人の好みは勿論のこと、声で判断出来るようになったり、すれ違った時に認識出来たり、会話が盛り上がったり。 常連って響き、一...
その温泉旅館は、山あいの川沿いにひっそり建っていた。社員旅行の幹事を押し付けられた俺は、予算と立地だけでそこを選んだ。サイトの写真は綺麗だったし、口コミも悪くない。 ただ、到着してすぐに気づいた。廊下が、やけに静かすぎる。客が多いはずなのに、足音も笑い声も薄く、襖の向こうから聞こえるのは川の音...
冬の終わり、夜の電車は妙に静かだった。 窓の外は真っ黒で、ガラスに映る車内だけが“もう一つの世界”みたいに揺れている。 僕は座席に座ってスマホを眺めていた。 そのとき、向かいの席に座った女に気づいた。 息をのむほど、きれいだった。 長いまつ毛、整いすぎた鼻筋、肌は光を吸うみたいに白い。化粧...
私の父の実体験の話です。 私の家系は皆霊感を持っており、何かしらの心霊に度々遭遇していました。 そんな私の家系ですが、私の祖母の家系の方はお寺関係の仕事をしており、そのような環境で育った私の父は小さい頃から霊感がかなり強かったそうです。 金縛りにあったり、霊によって危険な目にあったり、お寺の...
「今思えば、彼氏の元カノは“まがまが女”だった」 これは数年前、私がまだ都内でひとり暮らししていた頃の話です。 今でもたまに、玄関のドアスコープを覗きたくなる夜があります。 彼氏の涼(りょう)と付き合いはじめて、三ヶ月くらい経った頃。 彼は優しくて、穏やかで、怒るところを見たことがない人で...
放課後の教室は、窓の外の部活の声だけが遠くて、黒板のチョーク粉が光って見えた。 「ねえ、今日も残る?」 振り向くと、菅野(かんの)紗良が立っていた。二年の春から同じクラスになって、最初に話しかけてきたのも彼女だ。やたらと距離が近くて、笑うときだけ目が笑わない。けれど、そういう子はクラスに一...
姉の友人(男)が以前、近所の女性にストーカー行為をされていました。 その女性は三十代後半の女性で、何故か自分が二十代前半のその男性の彼女だと思い込んでいるヤバい女でした。 彼女だと思い込んでいるので、当たり前のように男性の自宅アパートへ入ろうとしたり、玄関前で待ち伏せをしていました。...
友達から聞いた話。昭和っぽいっていうか、母親の若い頃の話らしい。 母が高校の時、同じクラスに「彼氏に執着やばい」って有名な女の子がいたらしい。仮にAってする。 Aは付き合ってるって言い張ってたけど、周りから見ると男の方(B)は普通に引いてて、「付き合ってない」って言ってた。なのにAは毎日B...