志那羽岩子
@37CFgE8bwimoue3M
幽霊より人間が怖いタイプです。
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伯父がひとりで守ってきた渡し場の詰所というのはね、 川べりのいちばん端っこにあるんですけど、不思議と人の気配が途切れない場所だったんですよ。 朝は通勤で船に乗る人がいて、昼は畑に渡る人がいる。 用もないのに腰を下ろして、湯呑をすすりながら川を見て、何となく話して帰る人もいる。 渡し舟っていう...
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1chat_bubble 018 views21時間前 -
あいつがそれを口にしたのは、笑い話にできる席じゃなかった。 年度末の監査が終わった日の昼休み、ビルの裏手の非常階段で、煙草も吸わずにただ手すりを握っていた。人に聞かせるというより、自分の中の順序を確かめるみたいに、言葉を一つずつ置いていく話し方だったと、同席していた職員が言っていた。 「時...
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0chat_bubble 011 views22時間前 -
雨の匂いが強い夜だった。 梅雨の終わりで、空気がぬるく重い。 私は寝る前にいつもの癖で、机の上の小さな置き時計を見た。針はちゃんと進んでいるのに、秒の音だけが少し遅れて聞こえた。 廊下の突き当たりにある非常口の扉が、半開きになっている。家ではない。住んでいる建物の共用廊下だ。けれど私は、その...
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0chat_bubble 020 views2日前 -
入室したのは、昼の業務が一段落した時間帯でした。 建物は古いものの、用途は明確です。市が管理する資料保管施設で、役目を終えた帳簿や記録媒体が一時的に集められる場所でした。 私は外部委託の整理担当として、内容の価値ではなく保存方法の妥当性のみを確認する業務に就いていました。 情報に意味があるか...
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1chat_bubble 0289 views3日前 -
これは、誰にも話していない出来事です。 文章にするのも正直ためらいましたが、書かずにいると、自分の中で何かがずっと引っかかったままになる気がして、ここに残します。 あの日、私は会社に一人で残っていました。 残業というより、片付けです。資料の確認やログの整理で、特別な作業ではありません。いつも...
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0chat_bubble 0794 views4日前 -
祖父が残した荷物を受け取るため、初めて北海道の港町へ向かった。 祖父は私の生まれる前に本州へ出た人で、故郷のことはほとんど語らなかった。 親族との交流も途絶えて久しく、私にとってその土地は住所以上の意味を持たない場所だった。 接点が生まれたのは、仕事を辞めた直後のことだ。 職場の倉庫で...
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0chat_bubble 024 views5日前 -
深夜、ネット掲示板に奇妙な書き込みが立った。 古い私鉄の終点近く、駅から数分の位置にあった取り壊し予定のマンションで、夜になると「規則的な音がする」という内容だった。 音は一定で、速くも遅くもならない。金属同士が軽く触れ合うような、乾いた「カチ」という短音が、必ず同じ間隔で続く。 耳を澄ませ...
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1chat_bubble 0940 views6日前 -
これは、以前とある大型施設で夜間点検を担当していた人物から聞いた話だ。 彼はもうその仕事を辞めて久しい。待遇や人間関係に問題があったわけではない。ただ、ある一夜を境に、閉館後の屋内空間に入れなくなった。 その施設は、昼間は人と光と音で満たされる巨大な屋内構造物だった。天井は高く、通路は規則...
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8chat_bubble 01.1k views6日前 -
深夜一時過ぎ、俺は終電を逃し、人気のない住宅地を歩いていた。 駅から自宅まで最短で抜けられる近道は、小さな川沿いの遊歩道だ。街灯は等間隔にあるが、木が多く、光は途切れがちになる。その日も、靴音と水の流れる音だけがやけに大きく感じられた。 途中、前方に人影が見えた。 ベンチのそばに、誰かが...
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5chat_bubble 01.2k views1週間前 -
夏の終わり頃。 住宅街の中にある小さいカフェバーでバイトしてた。 昼間はほとんど客が来なくて、常連とダラダラ喋る場所みたいな店。 ある日、いつもの仲間が彼女連れて来た。 こいつ普段はうるさいくらい明るいのに、その日は異常に静か。 冗談振っても反応薄いし、顔色も悪い。 「どうした?」って聞...
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2chat_bubble 01.1k views1週間前
