志那羽岩子
@37CFgE8bwimoue3M
幽霊より人間が怖いタイプです。
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祖母が死んだ年から、同じ夢を見るようになった。 夢の中では必ず、見知らぬ家の廊下に立っている。板張りの、古い廊下だ。行き止まりに障子があって、その向こうから三味線の音がしている。弾いているのか、それとも誰かが唄に合わせているのか、判別できないまま近づこうとする。そこで目が覚める。 内容を覚...
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0chat_bubble 046 views1週間前 -
海底ケーブル敷設船の話だ。 私が乗っていたのは、太平洋の特定区域を専門に扱う中型の作業船で、甲板は潮風で常に錆の匂いがし、船内通路は揺れのたびに軋み声を上げた。エンジンルームに近い区画は常に温度が高く、夜当直を終えて戻ると、せまい寝台がまるでパンのように生温かかった。 乗組員の間には、陸の...
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0chat_bubble 025 views4週間前 -
これ、誰にも言ってないんだけど。 高校一年の夏、夜中に変なものに追いかけられたことがある。 あの頃の私はちょっとバカで、退屈で、何かやらかしたくて仕方なかった。だからその日も、家族が寝静まったあとそっと自転車で家を抜け出した。行き先は近所の中学校のプール。女子更衣室って、どんな感じなんだろ...
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1chat_bubble 037 views4週間前 -
私は、ゴンボスジだって言われてきました。 昔この村にあった、女ばかり生まれる家のことです。 畑に呪いをかける家。牛蒡を抜くと、先に目玉がついていて、抜いた人を睨むって。睨まれた人は、そのうち死ぬって。 ほんとかどうかは知りません。 でも、みんな本気みたいに言います。 うちは女しか生まれま...
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0chat_bubble 062 views1ヶ月前 -
正直に言うと、私は別に文章がうまいわけじゃありません。むしろ下手だと思います。 でも、それってたぶん「普通」の基準で測った場合の話で、本当の意味での言葉の震えとか、世界の裏側にひそむ湿った鼓動みたいなものを感じ取れるかどうかとは、あまり関係がないと思うんです。 クラスの女子たちは流行りの言葉...
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1chat_bubble 030 views1ヶ月前 -
私には、最近ひとつの特技があります。 当たるのです。 何が、というと、悪いことがです。 朝、家を出るときにふと嫌な予感がすると、その日は必ず何か起きます。電車の遅延、上司の機嫌、体調不良。小さなことですが、ほとんど外れません。 最初は偶然だと思っていました。けれど回数が増えるにつれて、...
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0chat_bubble 025 views1ヶ月前 -
一 同期入社の建築士——几帳面で読書家の女が、先週、珍しく私のデスクまで来て言った。 「ねえ、信じられないものを見つけてしまったんだけど」 「何を」 「呪われたビルディング。しかもこの街の、駅から歩いて七分のところに」 「それ、事故物件とは違うの」 「違う。事故とかそういうレベルじ...
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0chat_bubble 039 views1ヶ月前 -
五年ほど前の話になる。 金曜の朝、まだ始発が出る前の時間帯だった。午前五時少し過ぎ。オフィス街の大きなターミナル駅は、夜勤明けらしい人と早朝出勤の人がぽつぽついるだけで、妙に静まり返っていた。 地下三階の環状線ホームへ向かうエスカレーターに乗ったとき、突然、手首を掴まれた。 「そのカバン...
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0chat_bubble 032 views1ヶ月前 -
父には放浪癖があった。 蒸発というほど大げさではない。ある日ふっといなくなり、数日、長いときは一週間ほど帰らない。それだけだ。財布も通帳も持ったまま、仕事も放り出し、行き先も告げずに消える。 警察に届けるほどでもないと、母は言った。「そのうち戻るから」。だが、その「そのうち」が読めない。 ...
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0chat_bubble 0168 views1ヶ月前 -
書架の三段目だけが、毎朝わずかに違っている。 高さも色も、完璧に揃っていることに変わりはない。背表紙は寸分の狂いもなく並び、装丁は新品のように鮮やかだ。だが昨日まであった小さな擦り傷が消え、代わりに見覚えのない装飾が一冊にだけ加わっている。誰も気づかない程度の変化だ。だが私は、昨日そこを拭い...
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0chat_bubble 0983 views1ヶ月前

