志那羽岩子
@37CFgE8bwimoue3M
幽霊より人間が怖いタイプです。
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私には、最近ひとつの特技があります。 当たるのです。 何が、というと、悪いことがです。 朝、家を出るときにふと嫌な予感がすると、その日は必ず何か起きます。電車の遅延、上司の機嫌、体調不良。小さなことですが、ほとんど外れません。 最初は偶然だと思っていました。けれど回数が増えるにつれて、...
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0chat_bubble 014 views19時間前 -
一 同期入社の建築士——几帳面で読書家の女が、先週、珍しく私のデスクまで来て言った。 「ねえ、信じられないものを見つけてしまったんだけど」 「何を」 「呪われたビルディング。しかもこの街の、駅から歩いて七分のところに」 「それ、事故物件とは違うの」 「違う。事故とかそういうレベルじ...
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0chat_bubble 022 views1日前 -
五年ほど前の話になる。 金曜の朝、まだ始発が出る前の時間帯だった。午前五時少し過ぎ。オフィス街の大きなターミナル駅は、夜勤明けらしい人と早朝出勤の人がぽつぽついるだけで、妙に静まり返っていた。 地下三階の環状線ホームへ向かうエスカレーターに乗ったとき、突然、手首を掴まれた。 「そのカバン...
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0chat_bubble 021 views3日前 -
父には放浪癖があった。 蒸発というほど大げさではない。ある日ふっといなくなり、数日、長いときは一週間ほど帰らない。それだけだ。財布も通帳も持ったまま、仕事も放り出し、行き先も告げずに消える。 警察に届けるほどでもないと、母は言った。「そのうち戻るから」。だが、その「そのうち」が読めない。 ...
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0chat_bubble 0161 views4日前 -
書架の三段目だけが、毎朝わずかに違っている。 高さも色も、完璧に揃っていることに変わりはない。背表紙は寸分の狂いもなく並び、装丁は新品のように鮮やかだ。だが昨日まであった小さな擦り傷が消え、代わりに見覚えのない装飾が一冊にだけ加わっている。誰も気づかない程度の変化だ。だが私は、昨日そこを拭い...
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0chat_bubble 0399 views4日前 -
江戸時代、清水寺の舞台から人が飛び降りていた。これは誇張でも伝説でもない。実際に記録が残っている。願いが叶うと信じられ、二百件を超える飛び降りが行われ、その多くが生き延びたとされる。 問題は、なぜ人が「助かる可能性が高い」と分かっていても、わざわざ十三メートルの高さから身を投げたのか、という...
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0chat_bubble 015 views4日前 -
俺がその話を聞いたのは、大学病院で臨床試験のバイトをしていた友人からだった。 「プラセボ効果なんて、要するに思い込みだろ?」 そう笑った俺に、あいつは妙に真顔で言った。 「いや。あれは“思い込み”じゃない。 引き金だ」 その病院では、新薬の二重盲検試験が行われていた。被験者にも医師にも...
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0chat_bubble 025 views5日前 -
三列目の床だけが、ほんの少しだけ白く削れております。 黒板の真正面。窓側から三番目の列。その四つの席に座った生徒が、同じことを申します。「見られている」と。 後ろではないそうです。横でもないそうです。視線は前から来るのに、前には何もないと。そう申し上げますと、だいたい笑われます。気にしすぎ...
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0chat_bubble 0100 views6日前 -
記録者について、先に断っておく。 私は、あの工場の人間ではない。少なくとも、今はそういうことになっている。 八ヶ月前の出来事だ。だがいまも、休憩室で紙コップのコーヒーを口に運ぶとき、必ず手が止まる。スチール棚の陰に、何かが立っている気がする。振り向いても誰もいない。けれど振り向かないという選...
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0chat_bubble 025 views6日前 -
広い家の話です。 これは、知り合いのお兄さんから聞いた話だって、先輩が言っていました。 だから本当かどうかはわかりません。でも、私はちょっと本当だと思っています。 その家は中庭があって、石の柱が並んでいて、夜になると風が通り抜けるらしいです。すごく立派なのに、誰も住まない。理由は単純で、夜に...
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0chat_bubble 017 views1週間前