志那羽岩子
@37CFgE8bwimoue3M
幽霊より人間が怖いタイプです。
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祖父が残した荷物を受け取るため、初めて北海道の港町へ向かった。 祖父は私の生まれる前に本州へ出た人で、故郷のことはほとんど語らなかった。 親族との交流も途絶えて久しく、私にとってその土地は住所以上の意味を持たない場所だった。 接点が生まれたのは、仕事を辞めた直後のことだ。 職場の倉庫で...
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0chat_bubble 032 views3週間前 -
深夜、ネット掲示板に奇妙な書き込みが立った。 古い私鉄の終点近く、駅から数分の位置にあった取り壊し予定のマンションで、夜になると「規則的な音がする」という内容だった。 音は一定で、速くも遅くもならない。金属同士が軽く触れ合うような、乾いた「カチ」という短音が、必ず同じ間隔で続く。 耳を澄ませ...
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1chat_bubble 01.6k views3週間前 -
これは、以前とある大型施設で夜間点検を担当していた人物から聞いた話だ。 彼はもうその仕事を辞めて久しい。待遇や人間関係に問題があったわけではない。ただ、ある一夜を境に、閉館後の屋内空間に入れなくなった。 その施設は、昼間は人と光と音で満たされる巨大な屋内構造物だった。天井は高く、通路は規則...
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16chat_bubble 02.4k views3週間前 -
深夜一時過ぎ、俺は終電を逃し、人気のない住宅地を歩いていた。 駅から自宅まで最短で抜けられる近道は、小さな川沿いの遊歩道だ。街灯は等間隔にあるが、木が多く、光は途切れがちになる。その日も、靴音と水の流れる音だけがやけに大きく感じられた。 途中、前方に人影が見えた。 ベンチのそばに、誰かが...
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8chat_bubble 02.4k views4週間前 -
夏の終わり頃。 住宅街の中にある小さいカフェバーでバイトしてた。 昼間はほとんど客が来なくて、常連とダラダラ喋る場所みたいな店。 ある日、いつもの仲間が彼女連れて来た。 こいつ普段はうるさいくらい明るいのに、その日は異常に静か。 冗談振っても反応薄いし、顔色も悪い。 「どうした?」って聞...
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4chat_bubble 01.5k views4週間前 -
あの倉庫は、地元じゃ有名だった。 港湾地区の外れにあって、もう何年も使われていない冷凍倉庫だ。 取り壊し予定は何度も出たらしいが、地権が絡んで話が流れ続けている。 肝試しだの心霊スポットだのという扱いもされていたが、俺にとっては単なる廃構造物だった。 俺は建築学科で、卒論のテーマは戦後の冷...
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0chat_bubble 042 views4週間前 -
深海は、最初から静かだったわけではない。 静かになってしまったのだ。 田所は、海底調査会社の現場要員として十年以上働いている。調査船の中で目を覚ますと、いつも同じ音が聞こえる。低く唸るエンジン音と、通信機の無意味なノイズ。かつては胸が高鳴った。未知の沈没船、誰も見たことのない遺物。人類史の空...
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2chat_bubble 01.8k views1ヶ月前 -
佐久間は、公立図書館の地下深くにある「保存期限を過ぎた行政資料」の裁断・破棄を請け負う専門の業者だった。 彼には、作業の精度を自らに課すための、奇妙な手順がある。 特定の古い管理番号——末尾が「0」で終わる茶封筒——を手にする際、彼はわずかに指先が震えるほどの高揚感を感じるのだ。普段は淡々と...
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0chat_bubble 050 views1ヶ月前 -
その記録は、ある音響技師が廃業を決めた際、馴染みのバーで「一度だけ、機材では説明できないノイズを拾った」と語った断片に基づいている。 舞台は、都心の再開発地区に建つ最新のデータセンター。そこは二十四時間、空調の唸りとサーバーの排熱が支配する人工的な静寂の空間だった。建物の最上階、四十四階にあ...
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4chat_bubble 12.6k views1ヶ月前 -
終電が引き返していく音を、地下の奥で聞いたことはあるだろうか。駅の喧噪が引き潮みたいに引いたあと、残るのは無線の白いノイズと、湿った風だけだ。新人監視員として配属された夜、俺はその音に迎えられた。 工事区画は終電後にだけ開く。防塵シートの向こうで線路はむき出しになり、天井からは一定の間隔で水...
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0chat_bubble 038 views1ヶ月前