
夏の終わり頃。
住宅街の中にある小さいカフェバーでバイトしてた。
昼間はほとんど客が来なくて、常連とダラダラ喋る場所みたいな店。
ある日、いつもの仲間が彼女連れて来た。
こいつ普段はうるさいくらい明るいのに、その日は異常に静か。
冗談振っても反応薄いし、顔色も悪い。
「どうした?」って聞いたら
「……ちょっとヤバいことあった」
それ以上は黙り。
しつこく聞いたら、やっと話してくれた。
そいつ、研修旅行の帰りに最寄り駅に着いたらしい。
で、家の鍵を忘れたことに気づいた。
家には姉がいるはずだったから、駅の公衆電話から家に電話。
数コールで出た。
「俺だけど。今駅。鍵ないから開けといて」
返事聞かずに切って帰った。
家に着いたら鍵開いてない。
インターホン鳴らしても反応なし。
でもさっき電話出たよな?と思って、近くのタバコ屋前の公衆電話でもう一回かけた。
またすぐ出る。
「もしもし、俺だけど」
無言。
切れない。
ただ繋がってる。
壊れてんのかと思って一旦帰宅。
玄関脇の予備鍵で中に入った。
中、完全に無人。
電話も普通に使える。
気持ち悪くて、もう一回だけ確認することにした。
今度はちゃんと施錠してから公衆電話へ。
またすぐ出る。
「もしもし」
無言。
「姉ちゃんだろ」
無言。
キレて
「誰だよ。いるんだろ」
しばらく沈黙のあと、声がした。
「……ダレモ、イナイヨ……」
男か女か分からん声。
遠いような、すぐ横みたいな感じ。
怖くなって受話器叩きつけて家に走った。
家の中はやっぱり誰もいない。
窓も全部閉まってる。
ただ、居間の電話だけ。
受話器が外れて、床に置いてあった。
誰かが取った跡だけ残ってた。
話し終わったあと、そいつそれ以上何も言わなかった。
彼女も終始無言。
正直ネタだと思いたいけど、
電話が鳴る音聞くと、
「こっちからかけたのか」「向こうから繋がれたのか」
分からなくなる瞬間がある。
あれ、どっちだったんだろうな。
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