しもやん
@Jt5jQJk80rqyrMQA
2019年5月から利用
過去最高ランキング

※入賞回数:10位以内の回数
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「そうそう、俺には埋めるのを専門にしてるダチがいてな――」 薄暗い山中で邂逅した彼は、そう言って話し始めた。 11月某日、晩秋の鈴鹿山脈北部でのできごとである。 諸事情により、最近は山行回数がめっきり減りつつあった。かつては毎週土日は必ずどちらかを登山に充て、その都度独創的なルートを構...
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0chat_bubble 0322 views2週間前 -
わたしは海運系のフォワーダーに勤めるごく普通のサラリーマンである。勤務先は海上コンテナの運賃販売にはタッチせず、ひたすら通関のみを専門に請け負う中小企業だ。通関専門というのはますます総合物流化の著しい昨今、業界の中ではちょっと珍しい。 総合物流は便利には違いない。フォワーダーの担当窓口にこ...
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15chat_bubble 18k views2025年6月22日 -
新雪をいの一番で踏みしめる――。厳冬期登山の魅力はこれに尽きる。確かに白銀一色の景色は美しいし、厳しい気候もスパイスにはなる。だが所詮、そうした事柄は枝葉末節にすぎない。処女雪を独占できるか否か。これが冬期登山の醍醐味を味わう分水嶺になるのだ。 山屋でないまともな一般人には信じがたいだろ...
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25chat_bubble 09.1k views2024年11月23日 -
日本百名山という山岳格付けがあることをご存じだろうか。その名の通り、日本の名山を100座リストアップした一種の登山指南である。 火付け役は深田久弥という小説家だ。全国津々浦々の山を巡った自身の登山体験をもとに、標高、地域性、山容の美しさなど多岐にわたる評価項目をベースにして執筆した随筆がも...
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63chat_bubble 217k views2024年8月26日 -
以前、自殺しようとしていた女子大生を助け、そのお礼という名目で三重県の木和田尾登山口に呼び出されたことがあった(「お礼をしたいので1」、「お礼をしたいので2」参照)。 その際科学的に説明のつかない体験を強いられ、本件にはこれ以上関わるまいと誓っていた。 わたしの決心とは裏腹に、つい先日例...
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47chat_bubble 224k views2024年5月12日 -
日本アルプスのうちでどこが好きかと聞かれれば、わたしは迷わず中央アルプスだと答えるだろう。 荒々しい岩稜と多数の名峰を擁する北アルプスでも、手つかずの自然が残っている南アルプスでもない。山脈の規模が小さい、3,000メートル峰がない、ロープウェイで庶民化されたなどと散々な言われようの中央ア...
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45chat_bubble 111k views2024年4月7日 -
山では見知らぬ他人との距離が不思議と近くなる。 すれ違えばあいさつをするのは当たり前だし、フィーリングが合えば長々と山談義をしたりもする。 目的地さえ合えば、道連れになることさえそう珍しくはない。 以下に語る話はわたしが若いころに遭遇した、とある女性登山者との邂逅の記録である。 記...
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77chat_bubble 020k views2024年2月18日 -
わたしにはつい最近まで交際していた女性がいた。 とてもよい関係で、将来を見据えた付き合いとして始まったのだが、ひと月前ほどに一方的に交際終了を告げられた。 理由は先方の両親の介入である。わたしの出自が下賤なのが気に入らないのだという。 * * * クリスマ...
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52chat_bubble 311k views2024年1月1日 -
わたしは25歳くらいから、かれこれ15年近く登山を続けている。 それだけやっていれば、命の危険を感じるような修羅場を潜り抜ける破目に陥るものだ。 これはつい最近、晩秋の鈴鹿山脈で実際に体験した出来事である。 * * * このところ仕事が忙しく、毎日終電帰り...
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69chat_bubble 222k views2023年11月19日 -
2年ほど前の冬、御池岳からの下山途中に自殺するつもりだった女子大生を思いとどまらせたことがある(「お礼をしたいので」参照)。 その際に連絡先を交換していたのだが、いっさいやり取りはなかった。つい先週までは。2年ぶりに連絡をよこした理由は、わたしにお礼がしたいのだという。ぜひとも一度会って話...
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102chat_bubble 423k views2022年3月31日