
長編
山姥
匿名 3日前
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りを見せる二人を凝視する。
「食うたって……一体、誰のこと言うとるが? 皆んな無事でないけ」
「……え? ……あ、あれ……っ? 誰も……食われとらんっけ……?
「いや、確かにだっかが……」
困ったように狼狽えるK君達の姿を見て、俺は小さく溜め息を吐いた。
「けど、皆んなここにおるでないけ」
「そや、ちゃな……皆んな無事で良かったわ……。けど、もう二度とあの山には行かん。たけちゃんも、あの山には近付かん方がいい。絶対や」
「そや、絶対に行かん方がいい。……恐ろしい事が起きるさかい」
「う、うん……分かったちゃ」
あまりの必死さに気圧されつつもコクリと小さく頷くと、そんな俺を見た二人は心底安堵したような表情を見せた。
二人が見たという山姥の姿は、一体どんなものだったのか──。その興味が消えた訳ではなかったものの、だからといって、一人であの山に入るつもりはない。なにより、K君達がこんなにも必死で止めている姿を見ると、それを振り切ってでも見に行こうとはどうしても思えなかった。
あの怯えぶりからすると、よほど怖い目にでも遭ったのだろう。もしかしたら、記憶が曖昧なのもそのせいなのかもしれない。そうと分かっていて、一人で山に入る程の勇気も俺にはなかった。
「なあなあ、今から家に来ん? 久しぶりに対戦せんまいけ」
すっかりといつもの調子に戻ったK君は、そう告げるとニッコリと微笑んだ。
「ああ……あのゲームけ。うん、やろうかな。相変わらず下手やけど」
「いいちゃ、いいちゃ。いつもみたくチームで分かれて対戦せんまいけ。負けた方ちゃ罰ゲームな」
「いいけど。三人しかおらんけど、どうやってチーム組むが?」
「いつもみたく二・二でいいやろ」
「いや、けど三人しかおらんし……」
「あれ……? いつも四人で一緒に……いや、三人やったか……?」
「「…………」」
確かにK君の言う通り、いつも四人で遊んでいたような気もする。けれど、一体どこの誰だったのか全く思い浮かばないことを考えると、きっとそれは気のせいなのだろう。
「何言うとるがや、いつも三人やったやろ」
まるで自分自身を納得させるようにしてそう告げると、ヘラリと薄く笑ったK君は頬を掻いた。
「あー……、やっちゃね。なんか勘違いしとったわ」
「僕も一瞬、四人おったかて思うたちゃ。K君に騙されるとこやったわ」
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- 主人公の息子だったんですねあー
- ではでは、解説しますね 最初、主人公の少年達は4人組だった。その内3人で山に行くも、翌日帰って来たのは2人だけだった。余っていた机や、誰か居たような気がしたのはこの4人目の少年。彼は山姥に食べられ、何故かその存在の記憶すら抹消されてしまった為、多少の違和感はあるものの誰も気付かない。 その後、大人になった主人公。 ゲーム機や子供用の食器類は、主人公の子供のもの。でも、記憶がないということは…山姥に…。 やはりここでも、違和感は感じるものの主人公は気付けない。だけど、本能的に察しているのか悲しみから涙が出ている。 って感じですBAgu
- すみませんが、僕には意味がわかりませんでした。あー