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長編

山姥

匿名 3日前
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 そう言いながら小さく微笑んだA君は、一瞬何かを考えるような素振りを見せて小さく首を捻った。  そんなA君の姿を見て、何か胸を騒つかせるような不快感が生まれた俺は、思わず顔を歪めると左胸を抑えた。けれど、それが一体何なのか。その正体は俺には分からなかった。  その小さな塊のようなモヤは、あれから二十年以上経った今も俺の中に残っている。  結局、あれから一度もあの山に入ることもなく、あの時K君達が見たという山姥の正体も、未だに俺はよく分かっていない。けれど、それならそれでいいとも思っている。  それを確かめようとすれば、きっと間違いなく良くないことが起きるのだろう。そんな気がしてならないのだ。 「ご飯の時間ちゃ。ゲームは終わりにして、早うこっちに来っしゃい」  そう言われて食卓に腰を下ろすと、俺は目の前にいる嫁に向けて口を開いた。 「ゲームなんてせんぞ。何言うてんだ?」 「……あら? そうやったっけ。けど、あそこにゲームあるでない」  そう言ってテレビ台を指差した嫁は、もう一度俺の方へと視線を移すと首を傾げた。 「じゃあ、あれ誰のゲーム機?」  ゲームなど子供の頃以来した覚えなどなかったが、確かにあのゲーム機には見覚えがある。ということは、やはり俺のゲーム機なのだろう。もしかしたら、甥っ子が来た時の為にと用意したものなのかもしれない。  そう考えてみると、子供の横で苦戦しながらゲームをしていた記憶もちゃんとある。 (…………。あの子供、本当に甥っ子やったっけ……?)  ボンヤリとした記憶を手繰《たぐ》り寄せながらも、俺は目の前にいる嫁に向かって口を開いた。 「やっぱ俺のやわ。甥っ子が来た時に遊べるように買うたの、忘れとったわ」 「なんや、やっぱたけちゃんのか。忘れるなんてボケちゃったが?」  クスクスと笑い声を漏らす嫁を見つめながら、俺は騒つき始めた胸元を抑えて小さく顔を歪めた。  二十年以上前のあの時から、ずっと鳴りを潜めていたあの小さなモヤのようなもの。それは大きな不快感と共に再び姿を現すと、俺の胸の中で確かな存在感を増してゆく。  けれど、やはりその正体が何なのかは俺には分からなかった。 「茜こそボケたんでない? これ、誰の分のご飯や?」  俺は静かに涙を流すと、テーブルに置かれた一組の食事を指差した。  そこにあるのは、誰もいない場所に置かれた子供

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  • 主人公の息子だったんですね
    あー
  • ではでは、解説しますね 最初、主人公の少年達は4人組だった。その内3人で山に行くも、翌日帰って来たのは2人だけだった。余っていた机や、誰か居たような気がしたのはこの4人目の少年。彼は山姥に食べられ、何故かその存在の記憶すら抹消されてしまった為、多少の違和感はあるものの誰も気付かない。 その後、大人になった主人公。 ゲーム機や子供用の食器類は、主人公の子供のもの。でも、記憶がないということは…山姥に…。 やはりここでも、違和感は感じるものの主人公は気付けない。だけど、本能的に察しているのか悲しみから涙が出ている。 って感じです
    BAgu
  • すみませんが、僕には意味がわかりませんでした。
    あー
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