
長編
山姥
匿名 2日前
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ろうし無理やわ」
「そっか……一緒に行けんの残念やわ。じゃあ、また今度一緒に行かんまいけ。今日は三人で行ってくるさかい」
一緒に行けないことを心底残念に思いながらも、俺はK君達を見送ると一人自宅へと帰ることとなった。
山姥なんて“鬼”が本当に実在するのかは定かではないものの、昔から忽然と消息を断ってしまう人間というのは存在するらしい。獣にでも襲われたのか、あるいは事故なのか。それは時に、神隠しとも言われたそうだ。
山姥という“鬼”の存在も、実際には間引きによる姥捨《うばすて》の生き残りなのではないかという説もある。
(山姥なんて、本当に存在するがやろうか……)
そんな事を思いながらも、俺は自宅の窓から見える山を眺めて小さく息を吐いた。
◆◆◆
──翌日。いつものように学校へとやって来た俺は、K君の姿を見つけるとその背中越しに声を掛けた。
「K君、おはよう。今日“ムツミ屋”におらなんだけど、どうしたが?」
いつも待ち合わせている駄菓子屋の前に姿を現さなかった理由を問うと、ゆっくりと振り返ったK君は気不味そうな顔を見せた。
「かんに。忘れとった」
そう言って小さく微笑んだK君は、なんだかいつもより元気がない様子だった。
「具合でも悪いが?」
「いや、ちょっこし疲れとるだけ」
「そっか、昨日ちゃ山に入ったさかいね。……で、山姥には会えたが?」
昨日から気になっていた事を口にすると、途端に顔色を悪くしたK君は小さく声を震わせた。
「会うたよ。じいちゃんの言う通り、本当に山姥がおった。けど……何も覚えとらんがや」
「え? 何も覚えとらんって、山姥には会うたんやろ?」
「うん、会うたのは覚えとる。えらい恐ろしゅうて……山に入ったのを後悔した。もう死ぬんだって、覚悟もした。……けど、気付いたら家におった。山を降りた記憶ものうて、どうやって帰ったのかも全く覚えとらんがや」
山姥に遭遇してからの記憶が一切ないと言ったK君は、酷く怯えた様子で目の前の俺を見つめた。
「ただ、えらい恐ろしいことが起きたのは間違いないんや。けど、それが何やったのかはよう覚えとらん」
「そんな奇妙なことがあるもんなんや。それにしても、本当に山姥がおるなんて凄いなぁ。俺も一回見てみたいわ」
「見ん方がいい。あの山に入ったら、恐ろしい事が起きるさかい」
まるで大
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- 主人公の息子だったんですねあー
- ではでは、解説しますね 最初、主人公の少年達は4人組だった。その内3人で山に行くも、翌日帰って来たのは2人だけだった。余っていた机や、誰か居たような気がしたのはこの4人目の少年。彼は山姥に食べられ、何故かその存在の記憶すら抹消されてしまった為、多少の違和感はあるものの誰も気付かない。 その後、大人になった主人公。 ゲーム機や子供用の食器類は、主人公の子供のもの。でも、記憶がないということは…山姥に…。 やはりここでも、違和感は感じるものの主人公は気付けない。だけど、本能的に察しているのか悲しみから涙が出ている。 って感じですBAgu
- すみませんが、僕には意味がわかりませんでした。あー