
「ごめんくださーい。」
雪深い山奥の小さな山小屋。冬の寒さが一層厳しくなり、外は静まり返っていた。
冬休みを利用して、妻と子供たちと一緒にこの山小屋に来ていたが、妻は体調を崩し、家の中で休んでいる。
私は、ストーブの近くでウトウトしていた。外の風の音が時折聞こえる中、居心地の良さに身を委ねていた。
そんな時、
「ごめんくださーい。」
かすかな声が耳に入ってきた。子供たちが友達を連れてきたのかと思い、私は気にも留めずに再び目を閉じた。しかし、声は再び響いた。
「ごめんくださーい。」
今度は少し大きな声で、まるで私を呼んでいるかのようだった。私は目を覚まし、立ち上がった。外は吹雪いているし、誰も来るはずがないと思った。
「誰だろう…?」
内心、少し不安になりながらも、居留守を使うことにした。再び寝てしまおうとしたが、
「ごめんくださーい。」
その声は、今度はストーブの音と共に聞こえてきた。壊れていたはずのストーブが、微かに「ギンゴーン」と音を立てた。寒気が体を包み、思わず背筋が凍る。
「気のせいだろうか…?」
声が続く中、私は立ち上がろうとしたが、体が動かない。恐怖に呑まれ、ただ静かに声を聞くしかなかった。
「ごめんくださーい。」
その声は次第に近づいてくる。階段を上がってくる音が響く。ドス、ドスと足音が廊下を歩き回り、二階からは「ごめんくださーい。」と私を呼ぶ声が聞こえる。
その音が私の心臓をドキドキさせ、恐怖が全身を駆け巡った。
「いとこか誰かだろう、そうに違いない。」
必死に自分を慰めようとしたが、声はさらに近づいてきた。「トン、トン」と階段を上がり、部屋のドアの前で止まった。
そして静寂が訪れた後、突然、低い声が聞こえた。「なんだ、いるじゃん。」
私はその瞬間、気を失った。
気がつくと、家族の声が聞こえた。「パパ、大丈夫?」と子供たちが心配している。目を開けると、妻が汗を拭いていた。
「う、うん、大丈夫だよ。」私はそう答え、夢だと思い込もうとした。しかし、心の中には不安が渦巻いていた。
一人になった私は、ふと耳を澄ました。すると、再び「ごめんくださーい。」という声が聞こえた。
「えっ?」心臓が高鳴る。
夢ではない、現実だ。
階段の音、廊下を歩く足音、そして二階に向かって呼びかける声。
今度こそは、信じられないことが起きるのではないかと思った。
再び声がしなくなり、静寂の後、角からその影が姿を現した。「やっぱり、いるじゃん。」
その瞬間、私は再び意識を失った。
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