
大学生の頃、友人と一緒に冬の夜に山奥の小集落にある廃屋に肝試しに出かけた。そこは、昔は賑わっていたが、今はほとんど人が住まなくなった地域で、すっかり寂れた雰囲気だった。
その廃屋は、古びた木造の一軒家で、外観はお世辞にも良好とは言えなかった。窓ガラスは割れ、周囲には枯れた木々が無造作に植わっていた。私たちは、その家がかつて誰かの住まいだったことを想像しながら、勇気を振り絞って中に入ることにした。
ドアを押して中に入ると、長い間放置されたような薄暗い廊下が目に入る。埃まみれのフローリングを進むと、居間に辿り着いた。そこには、古いソファとちゃぶ台が置かれ、周囲には使い古された本や飲みかけの缶ビールが散乱していた。何か不自然な静寂が周囲を包み込んでいる。
友人たちと話しながらゆっくりと奥の部屋へ向かうと、何かに引き寄せられるように、古い鏡が置かれた部屋を見つけた。鏡は埃をかぶり、周りには他に何も置かれていない。私たちがその鏡に近づくと、何かが映り込んでいるのに気づいた。映っているのは、私たちの後ろに立つ影だった。
振り返ると、誰もいないはずの廊下が背後に広がっていた。再び鏡を見ると、影が徐々に近づいてくるのが見える。恐怖に駆られた私たちは、この廃屋から逃げ出そうとしたが、何故か出口が見つからない。どれだけ探しても、廊下は同じ場所を繰り返すばかりだった。
最終的に、恐怖に耐えられなくなった一人が、鏡を壊してしまう。鏡の破片が散乱する中、私たちはようやく出口を見つけ、外へ飛び出した。外に出た瞬間、振り返ると、鏡の向こうに映っていた影は、今や私たちの後ろに立っていた。
その後、仲間の一人が「あの家は、鏡の中に何かを閉じ込めているんだ」と呟いた。それからというもの、私たちはあの廃屋のことを思い出すたびに、背筋が寒くなるのだった。どんな目的でその鏡が置かれたのか、今でも理解できないままだ。
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