本当にあった怖い話

怖い話の投稿サイト。自由に投稿やコメントができます。

長編

僕の地獄と彼女の地獄

匿名 3日前
怖い 96
怖くない 77
chat_bubble 0
13,933 views
ぎ、何事もなかったかのように玄関から出て行った。 僕は思った。 隣に眠る彼女は無事だった。 まるで初めからそこにいないかのように、男は無関心だった。 彼女は無事だった… 二人の僕の中を行ったり来たりした一人分の僕の意識はそこで途切れたのだった。 目を覚ましたのは6年後だった。 夜そのものを凍てつかせてしまいそうな冬の深夜、僕は無機質な病室の中で一人、目を覚ました。 はじめはそこが何処だか解らなかった。 見たこともない風景と乾いた空気に、そこが病室と認識するまでかなりの時間がかかった。 自分が病院のベッドの上にいると気付いて、直ぐにナースコールに手を伸ばす。 思うように動かない体よりも、伸ばした腕が枯れ枝のように細くなっていたことに目を疑った。 混乱する思考を必死に束ねて、叫びだしたい衝動を必死に抑えた。 返事のないナースコールを連打する僕の指はゴツゴツと骨ばって、まるで他人の指だった。 「…もしもし?」 十数回のコールで返ってきた看護師の声には、緊張と恐怖がはっきりと見て取れた。 「手が!僕の手が!!」 限界だった。 暗い部屋に独り、自分の体に起こっている尋常ならざる事態に動転し、僕はほとんど泣きながら叫んでいた。 そうすることでほんの少しだけ、現実から目を逸らしたり、問題を先送り出来るような気がしていた。 「××さん!?××さんですか!? 目を覚まされたんですか!?」 同じことを繰り返し叫ぶ僕に、僕と同じくらい動揺した看護師の女性は、 直ぐに行きますから!と叫んで若い男性の医師を同伴して、雷雨のような足音を鳴らしてやってきた。 どれくらいそうしていただろう…? 明かりの点いた部屋の中でパニックを起こしていた僕に、大丈夫…大丈夫だからね… まるで赤ん坊をあやすように背中を摩る看護師の声が、意識に寄り添い、心地良さを感じ始めた頃 親や兄弟、その他の親族が真夜中の病室に集まっていた。 それからはさらに理解が追い付かなかった。 たった数ヶ月会わなかっただけで、めっきり老け込んでしまっている父と母 若々しかった兄には無かったはずの白髪があり、叔父の顔にはいくつもの皺が刻まれていた。 声にならずに泣き崩れる祖母、良かった…かった…と泣きながら僕を抱きしめる母。 母や祖母に限らず、集まっ

この怖い話はどうでしたか?

f X LINE

chat_bubble コメント(0件)

コメントはまだありません。

0/500

お客様の端末情報

IP:::ffff:172.30.2.48

端末:Mozilla/5.0 AppleWebKit/537.36 (KHTML, like Gecko; compatible; ClaudeBot/1.0; +claudebot@anthropic.com)

※ 不適切な投稿の抑止・対応のために記録される場合があります。

grid_3x3 話題のキーワード

search

サクッと読める短編の怖い話 サクッと読める短編の怖い話

読み込み中...