
私が新たに勤務を始めた病院は、古い歴史があるせいか、どこか不気味な空気が漂っていました。特に一階の待合室は薄暗く、訪れるたびに胸がざわつくような感覚を覚えました。
私の業務は主に患者のケアと、その後の記録でした。しかし、夜勤に入ると、その不安感が一層強くなりました。妹が私を心配して、病院のことを語り始めました。「あの病院には、看護師の霊がいるらしいよ」と。
私の記憶の中で、彼女が言った「霊」がどこかに存在するかもしれないという考えは、私に恐怖を与えました。そんなある晩、仕事の合間に妹から教わった方法を試してみることにしました。目を瞑り、心の中で病院の各部屋を一つ一つ思い浮かべていきます。霊がいる部屋には何かしらの気配を感じるはずだと。
暗い廊下をイメージし、待合室の扉を開けると、何もない静寂が広がっていました。ほっとして次の部屋へ進むと、そこにも異常はありませんでした。少し安心し、業務を終えた私は帰宅することにしました。
しかし、その夜、疲れが溜まっていたのか、ソファでうたた寝をしてしまいました。夢の中でまたあの部屋を訪れ、扉を開く瞬間、何かが視界に入ってきました。それは、逆さまにぶら下がる人影でした。驚きで目が覚めると、そこには誰もいませんでしたが、心臓が高鳴っていました。
翌日、妹にその話をしたところ、彼女は「夜勤の時、あの部屋の近くでよく感じるって言ってた。もしかしたら、あの看護師の霊があなたを見ていたのかも」と言いました。私はその言葉に恐れを覚えつつも、どこかでその存在に興味を感じていました。病院での生活は、不安と興味の間で揺れ動き続けるのでした。彼女が本当にいるのか、私の中でその問いが消えない限り、安らぎは得られないのかもしれません。
今でも、夜勤の最中にふとした瞬間、あの影が私の目の前に現れるのではないかと、心のどこかで期待している自分がいます。
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