
私が小学生だった頃、友達の家に遊びに行くことが大好きで、よくその友達の親に車で送ってもらっていました。ある冬の夜、いつものように友達の家に向かうため、彼の家の高層マンションに到着しました。その日は友達の家族と共に出かける予定だったのですが、急遽その友達のお母さんが体調を崩してしまい、私は友達の父親の車に乗せてもらうことになりました。
友達の父親はいつも穏やかで、私たちを優しく見守ってくれる人でした。私も何度か彼の車に乗ったことがありましたが、いつも気になっていたことがありました。それは、助手席に彼の父親が座り、後部座席には私たち二人が乗ることになっていたのですが、後ろの座席の真ん中にはいつも何も乗っていないことでした。
その日も、後部座席は真ん中が空いていました。私たちは何気なく話をしながら、マンションの建物に入っていきました。エレベーターに乗り込むと、友達の父親が笑顔で「今日は楽しいぞ」と言いながらボタンを押しました。
エレベーターが上昇する最中、突然、後部座席に誰かが座っているのに気づきました。私の心臓はドキドキし、振り返ると、そこには見知らぬ小さな女の子がじっとこちらを見つめていました。驚いて「君は誰?」と聞くと、彼女は何も答えず、ただ目を合わせてきました。私も友達もその子の存在に戸惑いながらも、エレベーターが止まると同時にその子は消えてしまいました。
恐怖がこみ上げる中、私たちはそのまま友達の家に行くことになりました。帰り道、私はその子のことを気にしながらも、友達と楽しい会話を交わしていました。しかし、ふとした瞬間、友達の父親が私の方を振り返り、優しい笑みを浮かべながら言いました。「あの子のことは、気にしなくていいんだよ。」
私は驚き、気のせいかと思いましたが、心の中には不安が残っていました。数年後、同窓会で再会した友達にそのことを話すと、彼は驚いた顔で言いました。「ああ、その話は聞いたことがある。お前に見えてたんだな。あの子のことは忘れろってお父さんに言われただろう?」
その瞬間、私の背筋が凍りつきました。今でも、ファミリーカーの後部座席には誰も座らせていないことを思い出します。
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