
それはちょうど一年前の冬の始まり、寒さが身に染みる頃のことだった。
その日の朝、私はいつものように地方の小さな駅のホームで、つり革に掴まってスマートフォンのニュースを見ていた。
満員電車の息苦しさを少しでも和らげるための行動だった。
全国ニュースを流し読みした後、地元のニュースに目を移した。
社会面のトップには衝撃的な見出しが並んでいた。
━令和○年○月○日 深夜、
神奈川県のK町にある老舗の喫茶店から、爆発音が数回響いた。
近所の住人が駆けつけたところ、店舗の内部から煙が上がっているのを確認した。
すぐに消防に通報され、事後に確認されたところ、焼け跡から2人の遺体が発見され、そのうちの一人は店主の男性(48歳)だった。
その後の調査で、どうやら店主は不審な人物に襲われた後に店に火を放ったらしい。
━K町といえば、私が住んでいるN区の隣ではないか。
このニュースを見ながら、まさか自分の身近でもこんな恐ろしい事件が起こるなんてと思い、駅に到着した。
ホームに降り立つと、暗い曇り空が広がり、寒気が背筋を走る。
サラリーマンや学生たちが急ぎ足で改札を抜けていくのを眺めながら、私はゆっくりと歩き始めた。
ふと右手のベンチを見ると、老人が前かがみになり、何かを呟いていた。
彼はまるで目の前にいる誰かと対話をしているかのように、
━「お前がいなければ、私は救われたのに…」
と繰り返していた。
彼の服は薄汚れ、顔は青白く、不気味な雰囲気を漂わせている。
その時、駅の構内に響くアナウンスが流れた。
━「間もなく特急列車が参ります。白線の内側にお下がりください。」
遠くから警笛が鳴り、列車が近づく音がする。
その瞬間、背後からか細い声が聞こえた。
━「どうして私だけが、こんな目に遭うの?」
振り向くと、黒髪の少女が涙に濡れた目で立っている。
疑問を持ちながらも、「何かお手伝いしましょうか?」と言おうとしたその時、
彼女は線路へと走り出してしまった。
「あっ!」と思った時にはもう遅かった。
耳をつんざくような警笛と共に、目の前で衝撃音が響き渡る。
駅の中は悲鳴と混乱に包まれ、私は呆然とその場に立ち尽くす。
後に報道されたところによれば、彼女は不幸にも列車に轢かれ、亡くなってしまったという。
その後、私は小さな喫茶店で働き始めた。
店の雰囲気は落ち着いているが、時折奇妙な現象が起こることがあった。
時々、誰もいないはずの店内からかすかな声が聞こえてくるのだ。
後日談:
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