
友人Eの話。
Eは仕事に追われ、私生活も崩壊し、その結果、孤独な生活を送ることになった。ある日、耐えられない思いから、彼は高層ビルの屋上に行くことにした。自らの人生の終焉を決意し、ビルのエレベーターで最上階へと向かった。
訪れた屋上は、冷たい風が吹き抜ける寂しい場所だった。彼は周囲を見渡し、何もない夜空を見上げていた。高層ビルの光が遠くに小さく見え、孤独感が一層募っていった。
その時、彼の頭に浮かんだのは、自殺の方法や過去の自殺者の話だった。調べてみると、このビルの屋上でも多くの人が命を絶っているということが分かり、彼はその場にとどまることにした。
しばらくすると、エレベーターの音が聞こえ、ドアが開いた。中からは一人の若い女性が出てきた。彼女は薄暗い屋上に現れ、何かを探している様子だった。Eはその姿に引き寄せられるように近づいた。
「このビルには、何か特別なものがあるの?」とEが尋ねると、彼女は微笑みながら答えた。「ここから見える景色が、私を連れて行ってくれるの。」
Eはその言葉に引かれ、彼女と共に屋上の端に立った。彼女は空を見上げ、Eもその視線に従った。だが、その瞬間、彼女は消えてしまった。驚愕したEは、辺りを見回したが彼女の姿はどこにも見当たらなかった。
その後、エレベーターの音が再び響き、今度は別の乗客が現れた。Eは恐れを感じながらも、次々と現れる人々を目撃した。彼らは皆、彼と同じように屋上に集まり、彼女のように消えていった。
数日後、Eはこのビルが自殺の名所であることを知り、報道でかつての自殺者たちの顔写真を目にした。その中には、あの若い女性が含まれていた。彼女の最後の瞬間を想像すると、Eの心に重いものがのしかかった。彼は、次に来るエレベーターが自分を迎えに来るのではないかと恐れ始めた。
彼はもうこの屋上には来ないと決意したが、心の中には不安が残った。もしまたこの場所に戻ったら、自分もまたあのエレベーターの乗客の一人になってしまうのではないかと。彼の運命は、すでに決まっているのかもしれない。彼はそう思いながら、重い足取りでその場を離れた。
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