
私はその日、スイーツのデリバリーをしているアルバイトで、ある郊外のアパートを訪れた。
「お待たせしました!」
出迎えたのは、笑顔を浮かべた年配の男性だった。彼は私からチョコレートケーキを受け取り、部屋の奥へ運んでいった。
帰り際、スマホを確認すると、また同じアパートへのデリバリーが入った。どうやら、彼はパーティーを開いているのかもしれないと思った。
しかし、受注しようとした瞬間、他の配達員に取られてしまった。
次の配達を待っていると、また同じアパートの注文が入った。結局、その日は合計で5件のデリバリーを行った。
その後も、同じアパートからの注文は続き、合計で3回ほど配達を重ねた。まさに常連客だと思った。
そして次の週末、再び同じ場所からスイーツの注文があった。今回はちょっと豪華なデザートを運んだが、配達が終わった後に不安な気持ちが胸を締め付けるようになった。
そんなある日、テレビでとある衝撃的なニュースを見た。若い女性が何者かに誘拐され、残虐な方法で命を奪われた事件が報じられていた。
詳細は不明だったが、彼女は最後の瞬間、たくさんのスイーツを食べさせられ窒息死したという。
映像の中に映る場所は、あのアパートの近くだった。まさか、と思った瞬間、心臓が冷たくなった。私が運んだスイーツが、あの事件に関わっているのではないかと。
だが、根拠はない。偶然だ。そう思いたかった。頭の中で繰り返す。
結果的に私が運んだスイーツが、凶器になったなんてことがあったら、悪夢だ。そんなことは絶対にあり得ない。そうに決まっている。
その後、配達の依頼はパタリと止まった。私の心には、消えない不安が残った。
あの男性も、今はどうしているのだろう。彼の笑顔が、次第に恐ろしいものに思えてきた。
考えないようにしよう。だが、忘れられない。
全ては、恐怖の始まりだった。
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