
冬の寒い夕暮れ、大学生の僕は友人と街の公園を散歩していた。すると、木々の陰から誰かがこちらに手を振っているのに気づいた。近づいてみると、それは数年前に亡くなった祖母、つまり僕から見れば曾祖母だった。
「おばあちゃん?」
声を上げて立ち止まると、手を振っているのではなく、手のひらをこちらに向けて前後に動かしていた。まるで『止まれ』か『近づくな』と言っているかのようだった。その表情は必死で、何かを訴えかけているように見えた。
友人も異変に気づき、「どうしたの?」と立ち止まった。
「そこに…」
指を差して再び見たときには、もうおばあちゃんの姿は消えていた。混乱する僕の目の前で、突然、数メートル先のベンチから男性が地面に叩きつけられた。もしあのまま進んでいたら、間違いなく僕たちも巻き込まれていたはずだ。
「これはおばあちゃんが助けてくれたんだ」と、友人は静かに言った。その時の彼の表情は、驚きと共に感謝の気持ちが混ざっていた。
ちなみに、人が地面に落ちる音は独特だそうで、まるで水をたっぷり含んだ土袋が高所から落ちるような音だと、誰かが言っていたことを思い出した。今でもその瞬間を忘れることはできない。心に深い傷を残した出来事だった。僕は、友人の顔を見つめながら、小さく首を振った。あれは本当に、助けられたのだと思った。僕たちの身を守るために、彼女が現れたのだ。
その後、僕は何度も公園を訪れたが、祖母の姿を見ることはなかった。ただ、あの日の出来事は、僕の心に刻まれ続けている。彼女の存在が、僕を守ってくれたことを忘れないために。
それからというもの、祖母の話は僕の中で小さな伝説になった。たまに友人に話すと、彼はいつも真剣に聞いてくれた。そこには、祖母の影がずっとついて回っているのかもしれない。どんな時でも、彼女は僕を見守っているのだと。
その出来事は今でも色あせない。祖母の影は、いつも僕のそばにいるのだ。
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