
小学生の冬、叔父が家にやってきた。彼は失業中で、仕事を探すでもなく、ただ家に居座っている。
最初は優しかった叔父だったが、次第に彼の目には憔悴した影が宿るようになった。時々、彼は俺を連れ出して、雪の中で遊んだり、暖かい食事を作ってくれたりした。しかし、どこか心の奥に闇を抱えているように思えた。
ある夜、山小屋で雪が吹雪く中、叔父と二人きりになった。両親は外で用事があったため、俺たちは静かな空間を共有していた。すると、ふと叔父が「お前、何か隠してないか?」と呟いた。俺は驚いて顔を上げると、彼の目は鋭く、まるで俺を見下しているかのようだった。
その刹那、目の前にある古い日記帳が目に入った。子供の頃に描いた絵が挟まっているのを思い出し、俺は慌てて日記を隠した。だが、叔父は気づいたように笑い、「それ、見せてみろ」と言った。俺は心臓が高鳴り、震える手で日記を投げ出した。すると、叔父はそれを無言で拾い上げ、目を通し始めた。
その瞬間、部屋の温度が急激に下がった。まるで誰かがこの場に不気味な存在を持ち込んだかのようだった。叔父は無表情で日記を読み続け、俺は恐怖で息を飲んだ。彼の目が徐々に怒りに変わり、俺に向かって近づいてくる。「お前は、俺を裏切ったな」と彼は囁いた。
俺は恐怖に駆られ、何も言えずにただ後ずさりした。その時、雪が窓を叩き、風が唸り声を上げる。叔父は一瞬立ち止まり、外の音に耳を傾けた。俺はその隙に逃げようとしたが、彼の手が俺の腕を掴んだ。
「逃げるな、ツトム。お前は俺のものだ…」と、彼は言った。
その言葉に恐怖が増し、俺は全力で逃げ出した。山小屋の外に出ると、雪が膝まで積もり、逃げるのが困難だった。振り返ると、叔父が背後に立っていた。彼の目は真っ黒で、俺をじっと見つめていた。
俺は雪の中を必死に走り続け、家までの道を駆け抜けた。その後、両親が帰ると、叔父は山小屋に戻らなかった。数日後、近くの川で彼の遺体が発見された。警察は事故として処理したが、俺の心には彼の最後の言葉が生々しく残っていた。
後日、俺が見つけたメモには「ツトムを連れて行く」とだけ書かれていた。
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