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あの廃墟の診療所、聞いたことがあるだろうか。冬の夜、私たち4人はその場所に肝試しに行くことになった。メンバーは私(遥)、友達の健、真理、そして亮。高校最後の冬休み、心霊スポット巡りにはまっていた私たちは、最初はただ近くで話しているだけだったが、次第に冒険心が芽生え、「中に入ってみよう」と提案す...
車1台が買えるほどの費用を支払い、仮想世界で「20歳の女性として生きる1週間」を体験した29歳の正昭。その奇妙な経験は、やがて薄れゆく思い出のひとつとなり、彼は平凡だが平和な日常に戻ったはずだった。 ・・・ ……しかし今、目を覚ました俺は、身体に凄まじい違和感を覚えていた。 胸にのしかかる妙な...
冬の静かな夜、オレは古い洋館の中でカレンダーの日付を確認した。今日は令和6年の特別な日。そう、オレの一人息子、陽介(ようすけ)の20歳の誕生日だ。約束の日が、今、目の前に迫っている。 息子は、子供の頃から度々質問してきた。「パパ、どうしてママとパパは年が離れているの?」とか、「パパはどうして...
は行くべきか迷ったが、生まれ育った実家を訪れた。 「……父さん、母さん。ただいま」 おそるおそる発したその声は、かつてこの家で響いていた息子の低い声ではなく、紛れもない若い女性――「真理」としての高い声だった。 男だった俺が、女性の姿となって生まれ育った実家に戻ってきたのだ。 世間一般の性転換...
──これは、解けなかった呪いの話です。 いや、正確には──“解いた”と思わされた話です。 それ以来、私は毎晩、あの子の影を夢に見る。 笑っているようで、どこか不気味な目をしている。 ──だが、あれは喜びの表情ではなかった。 名を出すのもためらわれるが、仮に「真理(まり)」としておこう...
20年前、冬の寒い夜、若いOLの真理は高層ビルのエレベーターに乗り込んだ。仕事が終わり、同僚たちと一緒に帰るところだった。エレベーターの中は静かで、真理は心の中で明日への不安を抱えていた。「どうせ明日も同じなんだろう」と思いながら、エレベーターの壁を見つめていた。 その時、真理は壁に映る自分...
深夜の廃墟の病院で、長年勤務していた看護師の真理は、辛い過去を抱えていた。彼女は流産を2度経験した後、やっと授かった子供を出産したものの、産後の鬱に悩まされ、心身ともに疲弊していた。かつては明るく働いていた真理も、今では冷たい廊下を歩くことすら億劫だった。 真理は旦那に家事を任せ、赤ちゃんへ...