
深夜の廃墟の病院で、長年勤務していた看護師の真理は、辛い過去を抱えていた。彼女は流産を2度経験した後、やっと授かった子供を出産したものの、産後の鬱に悩まされ、心身ともに疲弊していた。かつては明るく働いていた真理も、今では冷たい廊下を歩くことすら億劫だった。
真理は旦那に家事を任せ、赤ちゃんへの授乳だけに専念することにした。授乳の時間は、冷たく暗い廊下での孤独な戦いだった。夜中の授乳は、彼女の心の闇を一層深めるだけだった。旦那は真理の気持ちを理解できず、求めてくる性行為は彼女にとって苦痛でしかなかった。
ある冬の夜、赤ちゃんが泣き始めた。真理は赤ちゃんを抱いて、病院の外にある小さな公園に向かった。そこは人がいない静寂な場所で、彼女は赤ちゃんをあやしながら、冷たい風に当たっていた。すると、暗がりから一人の女性が近づいてきた。彼女も赤ちゃんを抱いていた。真理はその女性を見て、同じように子供をあやすために来たのだろうと推測した。
「こんばんは」と真理が声をかけると、女性は無表情でただ真理を見つめていた。その様子に不安を感じた真理だったが、心の中で同情を抱いた。すると、女性が突然、「私の赤ちゃん、抱いてくれないかしら?」と尋ねてきた。真理は戸惑ったが、断るのも気が引けて、赤ちゃんを抱くことにした。だが、その赤ちゃんは泣き止むどころか、ますます大声で泣き出した。
真理は思わず心の中で怒りが湧き上がり、「この子の首を絞めて、泣かないようにしてしまいたい」と考えてしまった。その瞬間、我が子が母乳を求めて泣き始め、真理は我に返った。しかし、目の前の女性と赤ちゃんは消えていた。「夢だったのだろう」と真理は自分に言い聞かせ、病院へ帰ると、そのまま疲れ果てて眠りについた。
それから数年後、真理は我が子を原因不明の病で失った。夫婦の関係は悪化し、離婚に至った。今、故郷に帰ってきた真理は、あの晩の出来事を鮮明に覚えていた。彼女はいつまでも、あの暗い病院の廊下での出会いを忘れることができなかった。
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