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あの子の影の話
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あの子の影の話

21時間前
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──これは、解けなかった呪いの話です。

いや、正確には──“解いた”と思わされた話です。

それ以来、私は毎晩、あの子の影を夢に見る。

笑っているようで、どこか不気味な目をしている。

──だが、あれは喜びの表情ではなかった。

名を出すのもためらわれるが、仮に「真理(まり)」としておこう。

彼女はまだ十歳。ある日、私の部屋で遊んでいた。

部屋のドアを開けた瞬間、空気が重くなった。

棚の奥に置いていた古い日記が、ひとりでに開いていた。

彼女はその日記を見て、目を輝かせていた。

「これ、すごい! お兄ちゃん、これ何?」

その声が、どこか遠くから聞こえてきた気がした。

真理は、じっと日記のページを見つめていた。

私には、そこに“何か”がいるように思えた。

だが、見てはいけない気がして、視線を逸らした。

呪いを解く言葉を唱え始めたとき、彼女の背後に“もう一つの影”が揺れた。

影のように。だが、影よりも濃く、厚く、不気味だった。

「“それ”がこの家に入ったのは、いつからですか?」

私は答えられなかった。

長い沈黙の後、かすかな声で言った。

「古いお墓の近く……誰もいないと思って……遊びで……」

私は、解呪の儀式を始めた。

何度も繰り返してきた言葉のはずだったが、今回は異常だった。

言霊が口を出るたび、冷たい空気が押し寄せてきた。

儀式が終わったとき、真理はまだ微笑んでいた。

口は動かない。

だが、笑みの“形”が──人間のものではなくなっていた。

「……終わったの?」

私の声に、彼女は頷くことしかできなかった。

真理の目が、今度は私の背後の壁を見ていたからだ。

壁の向こうには、誰もいない──はずだった。

その晩から、異変が始まった。

廊下の隅で、かすかな足音。

床に、見えない何かの跡。

鏡に、私の背後で笑う“黒い影”が映る。

夢に真理が現れ、口を開けて笑う。

その口は──奥の方まで、“歯がない”のに、笑っている。

目が覚める。

だが、夢が終わっていない。

枕元の床が、重く凹んでいる。

天井の隅から、誰かが見ている“音”がする。

再び解呪を試みた。

だが、最初の一言が、どうしても出なかった。

喉に手をやると、舌が動かない。

舌の根元に、何か冷たいものが絡みついていた。

内側から。

「真理の中にはいなかったのか……?」

違う。

──“真理は器”だった。

本体は、すでに私の中にいたのだ。

そして、あの夜。

儀式の途中、鏡に映ったのは──真理ではなかった。

いや、“真理だったもの”の残骸だ。

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はじめまして、よろしくお願いします。

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