
20年前、冬の寒い夜、若いOLの真理は高層ビルのエレベーターに乗り込んだ。仕事が終わり、同僚たちと一緒に帰るところだった。エレベーターの中は静かで、真理は心の中で明日への不安を抱えていた。「どうせ明日も同じなんだろう」と思いながら、エレベーターの壁を見つめていた。
その時、真理は壁に映る自分の姿の横に、何かが映り込むのを見た。小さな子供のような影が、無表情で彼女を見つめていた。「え、何?」と驚く真理。影はすぐに消えたが、心の中には不安が残った。
エレベーターは階を上がるごとに、影は再び現れた。明るい光の中では消えてしまうが、薄暗い階ではその影が映り込む。真理は同僚たちと話しながらも、気になって仕方がなかった。「ただの錯覚だ」と自分に言い聞かせた。
しかし、その影は毎晩エレベーターに乗る度に現れた。真理はだんだんとエレベーターを避けるようになり、できるだけ階段を使うようにした。
ある日、仕事帰りの同僚が「真理、今日は一緒にエレベーターに乗ろう!」と誘った。仕方なく真理は了承した。エレベーターに乗り込むと、影がまた現れた。無表情のまま、彼女をじっと見つめている。
その時、同僚が振り返り、影を見たのだ。驚いた表情を浮かべ、「真理、あれは…」と言いかけた瞬間、エレベーターが急に止まった。真理は恐怖で動けないまま、影が同僚の肩に触れたことを感じた。
エレベーターのドアが開き、真理は同僚と一緒に逃げ出した。しかし、その後も影は彼女の後をついて回った。数年後、同僚と久しぶりに再会した時、彼女の子供が真理に似た笑顔を見せた。真理はその瞬間、あの影の正体を悟った。
「もしかして、あの子だったのか…」と心の中で呟いた。影は彼女の心の中に、いつも留まっているのかもしれない。真理はその後、エレベーターを使うことはなくなった。影が映るたびに、あの無表情の子供を思い出すからだ。
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