
長編
からくり箱
匿名 3日前
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俺は、入り口からソッと中を覗いて見た。
薄暗い倉の中はヒンヤリとしていた。
裸電球の明かりに少し目が慣れて中の様子が分かる様になった頃、倉の入り口から姉に声を掛けた。
「姉ちゃん、居る?」そういうと、ゴソゴソと音がして、二階から姉が顔を出した。
「何?」短い返事が返って来た。
「なんか面白い物あるの?」俺は、そう聞いた。
「あんたには面白く無いかも知れないけど、私には、面白いよ。」と倉の中に姉の声が響いた。
「上がってっていい?」そう俺が言うと、姉は「上がりたいなら上がって来ればいいんじゃない?」と言った。
俺は、ヒンヤリとした倉の中に入り、少し埃っぽい倉の中の階段を登り、二階へと上がった。
姉は、何かを持っていてソレを開けようとしている最中だった。
「何やってんの?」俺が言いながら姉に近付くと、二階に唯一ある窓からの明かりで、姉の手元にある物が見えた。
「あっ !?」俺は、姉の手の中にあった箱を見て驚いた。それは、あの社の中にあった箱だった。
幸太の兄ちゃんが話してくれた巨木と社の話。神社の中は、神様の家みたいな場所だから、勝手に物を持ち出したらイケない事とバチがあたる(神様に怒られると当時は思ってた。)と聞かされていた事を思い出していた。
そして、突然の祭りと祭りの中止。
大人達の慌てた様子。
それが頭の中でパズルの様に完成しつつあった。
「姉ちゃん、それ…。」俺の声は、驚きと祭りを楽しみにしていた幸太の帰り際の様子の怒りとで震えていた。
いや、実の姉が神様の家から、物を盗んで来たと言った方がショックだったのかも知れない。
この時はまだ、そんな良く分からない感情をどう表現していいのか分からなく、姉の隣に立ちすくんでいた。
俺の感情を姉がどう受け止めたのかは分からないが…「あんたから昨夜聞いてさ、どうしても見たくなって、今朝早くに行って、持って来たのはいいんだけどさ~開かないのよね~。」と言って、引き出しの様な所を引っ張って見せた。
箱はカタッカタッと音がするだけで、引き出せない。ツマミの部分も指先でツマンで開けようとするがカチカチと音がするだけで、箱は何処も開かなかった。
箱を開けようと躍起になっている姉に俺は、あの神社で、祭りが明日あるって話だったけど、中止になった事と大人達が慌ただしくしていた事を話した。
すると姉は、手を止めて俺に、この箱の事誰にも言ったらダメだよ。もし誰かに話
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- 面白かった‼早く続き読みたい!楽しみに待ってます!狐火