
長編
からくり箱
匿名 3日前
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の声がしたが良く聞き取れないまま家を飛び出していた。
その祖母の声が何と言っていたのかは、幸太の話で納得した。
「明日は、あの神社で祭りがあるんだって。だから、祭りの準備を手伝うと言えば、子供たちだけでも山の中に自由に入れる。」と、少し興奮気味に言った。
「祭り?」俺は、そう聞き返してた。何回も祖母の家に来ていたが、祭りがあったという記憶は無かった。
「うん。良く分かんないんだけど、お父さんが朝、言ってた。」と幸太も首を傾げながら言った。
俺と幸太は、取り合えず山の入り口まで行ってみる事にした。
暫く寄り道をしながら歩いて、山の入り口付近まで来ると、大人達の姿が数人見えた。
それを見て幸太が「やっぱり祭りがあるみたいだな。」と嬉しそうに俺に言って来た。
けど、俺には、何か大人達が慌ててる様にも見えていた。それでも、あの社の中の箱が気になり、ゆっくりとした歩調で、大人達に近付いて行った。
声を掛ける前に、大人達数人に気付かれた。
そして「祭りの準備に来たのか?悪いが祭りは中止だ。だから、家に帰るか別の場所で遊びなさい。」と言われ俺と幸太はお互いの顔を見て首を傾げた。
「祭りは無いの?」と幸太。
「ああ。楽しみにしていたのに済まないな。」と俺は、知らないオジサンに言われた。
脇では「どうする?」「祭り云々より、今の状況をなんとかしないと…」「町まで行って神主呼んで来るか?」とか、なんかそんな話が聴こえて来た。
暫くその場に止まっていたけど、社の方の畔みたいな道からも小走りに走って来る人とかもいて、なんか忙しそうだと思ったのと、マズイ事が起きたのだろうと子供ながらに感じて、俺は、幸太に帰ろうと促した。
しかし、幸太は祭りの事を朝、家族に聞かされ楽しみにしていたせいか、直ぐに動こうとはしなかった。
内心、俺も初めての事で少し楽しみだった気持ちもあったが、大人達の慌て振りにそんな気も失せ掛けてた。
何度目かの俺の「帰ろう。」の言葉に幸太は軽く頷き俺達は山の入り口から離れた。
幸太は、ずっと頭を垂れたまま無言だった。
俺が何を話しても終止無言のまま、祖母の家に着いた時も「またな。」と声を掛けたが幸太は俯いたまま軽く頭を縦に動かすだけで、俺達は別れた。
家に着くと俺は、何となく倉が気になり、姉が居るであろう倉の方に足を向けた。
倉の扉は開いていて、中に姉が居ることは間違いなかった。
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- 面白かった‼早く続き読みたい!楽しみに待ってます!狐火