
小学校に入ったばかりの私は、図書館で借りた本に夢中だった。
それは、色とりどりの人形が描かれた本で、特に赤ちゃん人形が印象的だった。
その頃、母が買ってくれたハーモニカも一緒に持ち込み、図書館の静寂の中で、時折小さな音を立てていた。
静まり返った図書館の中、私はハーモニカを吹きながら、人形の絵を見つめていた。
ある日、ふと思いついて人形の絵の口にハーモニカを当ててみた。「吹いてみてよ」と心の中で思いながら。
すると、まるで本当に声を出すかのように、かすかに音が響いた。驚きつつも、私はそれを何度も繰り返した。
しかし、次第にその声が不気味な響きに変わり、私のハーモニカを通して響く音は、まるで誰かが囁いているかのようだった。
気味が悪くなり、図書館から帰ると、母にこのことを話したが、信じてもらえなかった。
その後、図書館に行った際、私の目に映ったのは、あの赤ちゃん人形の絵が描かれた本が無くなっていることだった。
「どうして?」と母に尋ねると、母は困った顔で「そんな本は知らない」と言い放った。
数日後、私は夢の中でその人形が私の方をじっと見つめているのを見た。
その時、私は確信した。「人形が本当に私を呼んでいる」と。
目が覚めた後、ハーモニカを手に取ると、いつの間にかその音が人形の声に重なって聞こえる気がした。やがて、図書館の静けさが、その人形の声に包まれていることを感じた。
人形は決して消え去ったわけではなく、今もどこかで私を見つめている。あの音は、私の中でずっと響き続けているのかもしれない。人形の声が、ハーモニカの音と共に。息をしているのなら、いつかまた出会うかもしれない。~~~~~
でも、もし人形が本当に私の前に現れたら、どうすればいいのだろう?心の中に、恐怖が広がっていくのを感じた。彼女は、まだ私の声を待っているのだろうか。息はしているのだろうか。それとも、私を呼んでいるのだろうか?
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