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長編

5つの噂

匿名 2020年1月24日
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俺の地元には誰も入った事のない山がある。 そこには5つの噂が存在する。 一つ目、山の入り口に小学生低学年くらいの男の子がいる。 二つ目、鎌を持った女がいる。 三つ目、とある木に無数の包丁が突き刺さっている。 四つ目、軍服を着用している男に出くわす。 五つ目、こちらを見てくるおっさんがいる。・・・ といった内容だ。 果たして本当なのだろうかと思った俺は早速一緒に行ってくれるメンバーを集める事にした。 小学生時代の友達、中学時代の先輩後輩、高校時代の先輩後輩そして幼馴染など手当たり次第にLINEで呼びかけた。 その結果集まったメンバーは、中学時代の先輩1人、後輩2人、高校時代の後輩2人、小学生時代の友達3人、幼馴染1人の9人が集まりそして俺含む10人となった。 結構集まったので5人乗りの車2台に分かれて行く事にしたんだ。 確か3時間くらいで着いたと思う。 車をその場に置き俺たちはなるべく固まって行動した。 まず始めに、山の入り口に小学生低学年の男の子がいるという噂を検証していきたい。 「おいアレじゃねーか?」 歩いて5分ほどの事だった。確かに入り口に着いたのだが、小学生低学年の男の子はいなかった。 「やっぱり噂を鵜呑みにするのはダメかもなぁ。」 と誰かが言った。 「そうだな。こんな時間に低学年の男の子が1人でいる事自体がおかしいっつーの。」 俺たちは二つ目の噂を検証しに行く事にした。 鎌を持った女がいるという事だ。 噂によれば、白い和服を着た女が1人鎌を振り回して何かを呟いているという。 「そんな女俺ら全員でボコれば余裕っしょ!」 やっぱり10人で行動しているため気が大きくなる奴も何人かいたんだ。 そんな最中、 「うわっ!」 誰かが叫んだ。 俺たちは気になり叫んでいた奴の方へと振り向いた。 そこには、確かに鎌を持った女がいた。 だが鎌は振り回してはいなかった。 俺たちは少しホッとした。 だが問題はココからだった。 突然女がこちらに気付いたよだ。その顔は酷くやつれていた。 女は鎌を振り回す事なくただ俺たちの方をずっと見ていた。 俺たちもビビリながら女を見ていた。 そんな見つめ合いが10くらい続いたと思う。女が突然、 「ねぇあなた達、’vw(d・・・」 とボソボソ何かを言ってやがる。 俺らはその場から1秒でも早くここから去りたかった。 また女が俺らに何か話しかけてきた。 「あなた達私の邪魔しないでくれる?」 俺らは、ポカーンとしていた。 それもそのはずだ。俺らは何もコイツの邪魔は一切していないのだから。 「し、し、失礼しましたー!」 と1人がその場から逃げた。 そいつにつられて残った俺らもその場から逃げたんだ。 もうこの時点で涙目になっている奴が2人いた。 そりゃそうだ。怖いに決まっている。 そして三つ目の噂である、とある木に無数の包丁が突き刺さっている事について検証したいと思う。 「本当にさっき女ヤバかった」 「そうだよなぁ」 なんて声も聞こえてくる。 「てか本当に包丁がめっさ突き刺さってる木なんてあんのかよ。」 「ンなもんしらねぇよ」 「だから本当かどうか検証しに行ってんだよ!」 「つべこべ言わずに早く行こうぜ。」 と俺は言った。 「じゃぁさ、喋りながら噂を検証しようぜ!」 と中学時代の先輩がワケの分りない事を言い出した。 俺たちはかなりビビっていたので先輩の何気ない言葉で救われたような気がした。 「おい、どの木に包丁がめっちゃ突き刺さってるんだよ」 「んなもんしらねぇよ」 「うわぁ」 また誰かが叫び出した。 「んだよビビらせんなよ。」 「おいこれ、無数の包丁が突き刺さってる木なんじゃねーのか?」 確かにそこには無数の包丁が突き刺さってる木があった。 「何か気味が悪いな」 「早く行こうぜ。」 俺らは早くも四つ目の噂へと向かった。 次の噂は、軍服を着用した男と出くわすというものだ。 「そいつただのサバゲーに参加してる奴じゃね?」 「そうだな。絶対そうだ。」 すると、 「おい貴様ら!」 とどこからともなく怒鳴り声が聞こえてきたんだ。 声のした方へと振り返る。 そこには、軍服を着用した男がいた。 「おいテメェ。誰に貴様らって言ったんだゴラァ!」 とヤンキーの幼馴染が軍服の男に詰め寄る。 すると、 「貴様ら礼義がなっとらんな。」 と言うと、幼馴染を背負い投げ(?) したんだ。 幼馴染はすぐに立ち上がりその場から逃走。俺らもつられて逃走。 「お前何であんなおかしい奴に喧嘩売るんだよ。」 「なんかムカついたからだよ。」 そして最後の噂を検証しようと思う。 「最後はこちらを見てくるおっさんかぁ。」 「大丈夫だよただただこっちを見てくるだけだから。」 「てかそんなおっさんどこにいんだよ。」 「この山の出口にそのおっさんが現れるらしいぜ。」 「ホントかよ?」 「まぁネットで調べてみたんだよ。」 「マジか。そんなのも出てくんのかよ。」 「まぁそうみたい。」 「じゃぁ出口まで降りますか。」 俺たちは出口へと向かうことにした。 そして3時間後に俺たちは出口へと辿り着くことに成功した。 「あれおっさんいねーじゃん。」 「おいおいマジかよ。」 「だからネットはアテになんねーんだよ!」 「まぁでも車もすぐ近くにあるしこのまま帰ろうぜ。」 「それもそうだな。」 すると、 「おーい君たち。」 振り返ると50代くらいのおっさんが1人いた。 「何ですか?」 「君たちあの山に登ったんか?」 「はい。登りましたけど・・・」 「なら死んでもらおうかー!」 と急におっさんが得体の知れない化け物に変身した。 俺たちは慌てて車に飛び乗り、その場を去った。 家に着いてからはガクガク震えっぱなしだった。 検証結果、1は嘘だった。 だが2、3、4、は本当だった。 最後の5は訳がわからない結果となった。 本当に怖かったー! 最後まで読んでくれてどうもありがとうございました。またどこかで会いましょう。

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