
ある日、クラスメートのユウジが引っ越してきた。彼はおとなしく、少し内気な性格だったが、僕はすぐに彼と仲良くなった。彼の部屋にはゲームや本がたくさんあって、放課後は毎日のように遊ぶことができた。
しかし、ユウジには一つだけ気になることがあった。彼は決して自宅に友達を招こうとしなかったのだ。最初は単に恥ずかしがり屋なのかと思っていたが、何度か尋ねても彼は首を振るばかりだった。
冬のある日、僕の誕生日に最新のゲームソフトをもらった。ユウジもそのゲームを楽しみにしていたが、運悪くその日、彼の母親が体調を崩していた。僕はユウジに頼み込んで、彼の家に行くことにした。
「うち、母が寝込んでるから、あんまり騒がないでほしい」とユウジが言った。彼の家は小さなアパートで、玄関を開けるとすぐに薄暗い廊下が目に入った。部屋の奥からは静かな音楽が流れ、何か不穏な気配が漂っていた。
部屋に入ると、ユウジのお母さんがソファに横たわっていた。顔色は悪く、薄い布団にくるまれていた。ユウジは「静かにしてて」と小声で言った。
その後、ゲームを始めたが、ユウジは頻繁に部屋を出入りし、僕は一人で遊ぶことが多かった。彼が戻るたびに、緊張した様子で周囲を気にしていた。
夜が深まるにつれ、ユウジのお母さんの様子が気になり始めた。彼は時折、部屋の奥から変な声が聞こえると言って怯えていた。最初は気のせいだと思っていたが、次第にその声が耳に残るようになった。
ゲームをしていると、突然、ユウジが部屋に戻ってきて、顔面蒼白で僕に叫んだ。「早く出ていけ!お母さんが変だ!」その瞬間、背後から「ユウジ、どこにいるの?」と低い声が聞こえた。
僕は恐怖で動けず、ユウジは僕を引っ張り出そうとした。部屋の隅に目をやると、古い写真が飾られているのに気づいた。そこには、若い母親と一緒にいるユウジが写っていたが、彼の母親の表情はどこか歪んでいた。まるで笑っているように見えたが、目は虚ろだった。
「行こう!」ユウジが叫ぶ。僕は彼に引きずられ、必死で出口に向かった。その時、ドアが開き、ユウジの母が姿を現した。「二人とも、遊びに来てくれたの?」彼女の口元には、見たこともないような不気味な笑みが浮かんでいた。
僕はそのまま逃げ出し、振り返ると、ユウジはその場に立ち尽くしていた。彼の目には涙が浮かんでいた。「ごめんな、俺の母が…」
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