
廃墟の病院には、かつて多くの患者が未練を残して亡くなったという噂があった。私たち若い医学生のグループは、興味本位でその病院を訪れることにした。そこで、友人の一人が「影の嫁」と呼ばれる儀式を試みることを提案した。この儀式は、亡くなった人の霊と結びつくために、特定の医療器具を使うというものだった。
その夜、友人たちは懐中電灯を片手に病院の中を探索し、ついに儀式を行う場所を見つけた。古びた手術室の中央に、何かの儀式に使われた器具が無造作に置かれていた。彼はその器具を使って、自らの髪の毛と一緒に封筒に詰め、霊との結びつきを試みた。
最初は冗談半分だったが、彼の真剣な表情を見て、私たちは次第にその場の雰囲気に飲まれていった。儀式が終わると、彼はその場に置いた封筒を見つめていた。すると、突然、彼の目が驚愕に変わった。「何かが動いている」と彼は言った。私たちは恐る恐る封筒の方を見たが、何も見えなかった。
数日後、彼は夢の中で自分の周りに女性の姿が現れるのを繰り返し見ていた。その女性は、彼に優しく話しかけてきたが、顔は見えない。夢の中で彼は彼女に向かって手を伸ばし、彼女も手を差し出してきた。その瞬間、彼は強い恐怖を感じ、目を覚ました。
友人たちの間では、彼の夢の話は冗談として扱われたが、彼は真剣に悩んでいた。ある晩、彼が再びその夢を見た時、彼女が急に近づいてきて、「私たち、結婚するのよ」と耳元で囁いた。彼は目を覚ますと、心臓が早鐘のように打っていた。
そして、数日後、彼は姿を消した。友人たちは彼を探し回ったが、どこにも見つからなかった。彼が最後に目撃されたのは、儀式を行った病院の近くだった。彼の消失には、病院での儀式が関係しているのではないかと、誰もが思った。
数週間後、私たちは彼の話題を避けるようになった。まるで彼の名前を口にするのが恐ろしいことのように。ある日、私は夢の中で彼に出会った。彼は暗闇の中で私に向かって手を伸ばしていた。彼の顔は見えなかったが、彼の声が耳元で囁いた。「私たちは一緒に帰るんだ」と。その瞬間、目が覚めた。
私はそれ以来、彼のことを考えないようにしているが、耳から離れない彼の言葉が、心のどこかに引っかかっている。彼は一体、どこへ行ってしまったのか。影の嫁が、彼をどこへ連れ去ったのか。未練を残して彷徨う彼の姿が、今でも夢に出てくることがある。
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