
私は、都市の高層マンションでエンジニアとして働く男だ。独身で、結婚する気も今のところない。周囲からの結婚を勧める声も耳にするが、どうにもその気になれない。過去に経験した出来事が影を落としているからだ。この話を聞いてもらえれば、少しは心の整理ができるかもしれない。
実は、数年前に付き合っていた女性、瑞希の話だ。彼女とは友人の紹介で知り合った。初対面の彼女は、明るくて魅力的で、すぐに意気投合した。若いながらも様々な仕事を経験しているようで、話を聞くのが楽しかった。
付き合って1ヶ月ほど経ったある日、彼女が急に結婚の話を持ち出した。私は驚いた。付き合ったばかりなのに、どうしてそんなことを考えるのだろう。彼女は「あなたとなら幸せになれる」と、何度も言った。やがて私は彼女の期待に背くことが怖くなり、関係が続いてしまった。
しかし、付き合っていくうちに、彼女の執着が強くなり、私のプライベートにまで干渉するようになった。友人との時間を奪われ、仕事も手に付かなくなっていった。彼女は私の生活を支配しようとしているように感じ、次第に恐怖が芽生えていった。
ある冬の夜、私は彼女に別れを告げる決意をした。マンションの一室で、静かに別れの言葉を口にした。すると、彼女の表情は一変し、涙を流しながら私にすがりついてきた。彼女を振りほどき、ドアを開けようとした瞬間、彼女は私を押しのけ、部屋の中に火を放った。
火の手が上がる中、私は必死にドアへ向かった。背後からは瑞希の叫び声が聞こえ、冷たく笑う声も混ざっていた。外に飛び出した私は、近所の人々の視線を浴びながら、必死に消防車を呼んでもらった。マンションは炎に包まれ、住人たちの悲鳴が響く中、私は立ち尽くした。
その後、火災の調査が行われ、驚くべき事実が明らかになった。瑞希には、私の知らない家族がいたのだ。彼女の両親と妹が、私の部屋に隠れていたらしい。彼女は、私を道連れにしようとしたのだ。彼女の深い恨みや絶望が、その行動を引き起こしたのだろう。
私に何の責任もないと理解しつつも、その事実が心に重くのしかかる。結局、私は独身でいることにした。相手だけでなく、その背景にいる人々も、果たして大丈夫なのか、考えずにはいられないからだ。皆さんも、見えない影に気をつけてほしい。
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