
夏の昼下がり、人気のない山道をひたすらに進む軽自動車。
運転する男は、振り返らずひたすらに車を飛ばしていた。
男は一刻も早く山を離れるために急いでいた。
男は隆輝という24才の男だ。
隆輝は、公には見せられない品物の運び屋の仕事をしていた。
この日も町で受け取ったアタッシュケースを依頼人に届けて帰る途中だった。
隆輝が運んだ荷物のことが明るみに出れば、隆輝も依頼人も間違いなく罪に問われる。
だが依頼人の計画はバッチリで、あとは隆輝が何事もなく家に帰り、このことを誰にも知られなければ全て順調に終わるはずだった。
山の中の見通しのいい道にきたとき、隆輝は少し急ごうとアクセルを踏んだ。
その直後、道沿いの森の中から制服姿の女の子が現れた!
女の子はよける訳でもなく、なぜか車の目の前に飛び出した。
「あ、危ねぇ!」
隆輝は急ブレーキを踏み、間一髪で女の子を轢かずに済んだ。
「何だよ!」
隆輝は車の中で独り言を言いながら女の子を見てさらに驚く。
制服姿の女の子は、ロープで縛られて猿ぐつわをされていた。
誘拐事件か何かだろうか? 女の子は車の前に立ちはだかっていたので、まず隆輝は運転席から降りた。
女の子は何かを訴えるように隆輝に近づいた。
よく見ると長いおろした黒髪の可愛らしい顔の女の子だった。
隆輝は迷った。
この子に出会わなかったら計画は完璧だったのに。
(どうするか見捨てるか?でも車や俺の顔を見られてるしなぁ。)
女の子は必死な顔で猿ぐつわの中から呻き、隆輝は「乗って。」
と言い、女の子の拘束を解いたりせずに後部座席に乗せた。
そして隆輝は車を発進させた。
後ろには縛られている女の子を乗せて走る隆輝。
隆輝は『まるで俺が誘拐犯みたいだ』と思いながらも、ひたすら車を運転していた。
隆輝はしばらく山道を走らせ、しばらくすると麓まで来た。
静岡市の郊外の市街地に入りしばらく走ると、隆輝が住むアパートに辿りついた。
隆輝はあたりをキョロキョロしながら、女の子を部屋に入れた。
隆輝は畳の上に縛られている女の子を座らせるとしばらく眺めた。
やはり割と可愛らしい子で、胸元の膨らみがいい感じだ。
制服は薄汚れていていて、髪が少し乱れていた。
女の子は長時間、何処かで監禁されていたのだろうか。
隆輝は女の子の目を見て低い声で
「猿ぐつわを外すけど、絶対に叫んだりするな。いいか?」
女の子は静かに頷いた。
隆輝は女の子の猿ぐつわを外した。
「君はなぜあそこにいた?」
「私、誘拐されて監禁されていたんです。」
後日談:
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