
皆さん、夜中に“声”が聞こえた経験はありませんか?
その声が誰かのものだと感じたら、なおさら不安になってしまいますよね。私が体験したのは、そんな不気味な出来事でした。
私は20代前半、大学に通うために東京に引っ越してきたばかりでした。古いアパートで一人暮らしを始めた私は、初めての生活にドキドキしながらも、忙しく過ごしていました。冬の寒い夜、勉強疲れでぐっすり眠った後、目が覚めると時計は午後11時を回っていました。
その日は、特に何も予定がなかったので、リビングでぬいぐるみを抱きしめながら、テレビをつけていました。すると、ふと耳にしたのです。
「おい、あんた、起きてるのか?」
その声は、まるで私の祖母が呼んでいるように聞こえました。祖母は私が子供のころ、いつも優しく話しかけてくれた記憶があります。しかし、今は亡くなってしまった。何故、こんな声が聞こえたのか、思わずゾッとしました。
恐る恐るリビングを見渡しましたが、部屋には誰もいない。心臓がバクバクしながら、私は思い出していました。そういえば、祖母が生前、私に与えてくれた古いぬいぐるみが今もそばにあることを。きっとそれが何か関係しているのかもしれない。
私はそのぬいぐるみを抱きしめ、心を落ち着けようとしました。そんな時、また声が聞こえてきたのです。
「ねぇ、あんた、私の声、聞こえてる?」
まさに魂が抜けるかのような思いで、私は立ち上がり、ぬいぐるみを持ったまま玄関へ向かいました。思わず声を上げてしまいました。
「誰かいるの?」
返事はありません。ただ静まり返った廊下に、私の心臓の音だけが響く。外に出て、周囲を確認しましたが、誰もいない。真冬の冷たい空気が私の肌を刺すようでした。
再び部屋に戻り、ぬいぐるみを見つめると、ふと気づきました。祖母はいつも私に「おやすみなさい」と言ってくれた。その言葉を思い出すと、急に胸が熱くなり、涙がこぼれそうになりました。恐怖はいつしか、懐かしい思い出へと変わっていました。
その晩以来、あの声が聞こえることはありませんでしたが、ぬいぐるみを見るたび、祖母が私を見守ってくれているように感じるのです。今ではその体験も、私にとって大切な思い出となっています。冬の夜に聞こえた不思議な声、それは私を一人ではないと感じさせてくれるものでした。
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