
高校1年が終わる頃、家庭の事情で東京から遠く離れた田舎に引っ越すことになった。
高校は地元の公立高校に2年生から編入することになった。
電車で通学することができるが、乗る駅も降りる駅も家や学校までだいぶ歩かないといけないし、普通列車が30分か1時間に1本しか来ない。
いつも乗る路線は複線で特急列車も走っていて本数は普通列車よりも多いが、俺が住む地域では近隣の駅も含めて特急は殆ど止まらない。
よく駅周辺の山道を歩いていると、長い編成の特急がリズミカルなジョイント音を響かせて駅を通過していくのが見える。
それに対して、いつも乗る電車は2両しかない何十年も走っているような古い車両で、車内は高校生やお年寄りが大部分で、地元の人は車で移動する人が大半だった。
高校の最寄駅に近づくにつれて同じ高校の生徒が次々と電車に乗ってくるが、俺の家の最寄り駅から通っている人はあまりいないようだった。
朝はまだ外が薄暗い時刻に起きて朝食や準備を済ませると、俺はいつも眠い目をこすって山道を歩き、駅から電車に乗って高校に向かう。
6時間目の授業が終われば、寄り道することもなく山の道路を歩いて駅に向かい電車に乗って家路に向かうという毎日その繰り返しだった。
慣れない土地ということもあり友達はなかなか出来なかった。
その日も俺は朝早く駅に着いた。
ホームに向かう階段を上がりプラットホームにたどり着くと、ふとホームのベンチに座りながらスマホを操作している女子高生に目がいった。
制服は俺が通っている高校の制服のもので、名前は知らないがよく見る子だった。
普段ならその子を見ても気にしないが、そのときはなぜか彼女のことが気になった。
そして彼女をよく見ると割と可愛い子であることに改めて気づいた。
一重まぶたの上品な顔、セミロングのダークブラウンの髪、髪と対照的な白い肌など。俺は彼女を凝視していたが、彼女はスマホに集中しているせいか俺のことに気づいてなかった。
俺は電車が来るまでの数分間、彼女のことをチラチラと見ていた。
今さら気づいたことだが、俺は毎朝彼女と同じ電車に乗っていた。田舎なので電車の本数は少なく、その前後の列車は何十分も間隔があった。
俺が何回もその女の子を見ていると、彼女も俺の方を向くことがあった。
そして女の子は何事もなかったようにスマホに視線を移した。
そんな日が何日か続いたあと、その日は高校でちょっとした用事があって乗る電車がいつもより遅れた。
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