
冬のある夜、友人たちが孤立した山小屋に集まった。雪深い道を歩きながら、彼らは静かな時間を楽しんでいた。外は吹雪で、山小屋の中は温かい灯りに包まれていた。
その中で、古い人形が目を引いた。埃をかぶったその人形は、ボロボロのドレスを身にまとい、どこか不気味な笑みを浮かべていた。友人の一人、健太がその人形を手に取った。
「これ、誰かが置いていったのかな?」
「気持ち悪いな、捨てた方がいいよ」と言う友人もいたが、健太はその声を無視して人形を持ち続けた。夜が更けるに連れて、彼の手に持つ人形から微かな声が聞こえ始めた。
『助けて…』
最初は気のせいだと思ったが、声は徐々に大きくなり、彼らの耳に届くようになった。恐怖に駆られた友人たちは、健太に人形を捨てるように迫った。健太は人形を抱きしめるようにして、笑った。
「大丈夫だよ、ただの人形だろ?」
その瞬間、山小屋が揺れ始め、外からは不気味な呻き声が聞こえた。友人たちは恐怖におののいた。彼らは逃げようとしたが、扉が堅く閉ざされていた。
「何かが来る!」と叫んだ友人の一人が、窓の外を指さすと、そこには顔のない人影が立っていた。人形は急に大きくなり、健太の腕を掴むと、彼を引き寄せた。健太は叫び声を上げたが、周囲は彼の声を飲み込んでいく。
その時、山小屋の中に響く声があった。
『私を捨てないで…』
翌朝、友人たちは山小屋の外に出た。中は静まり返り、健太の姿はどこにもなかった。彼が持っていた人形も消えていた。
数日後、近隣の村で健太の遺体が発見された。顔が見当たらない、まるで人形に呪われたかのように。
後に、友人たちはその山の近くで人形に似たものを見かけるたびに、背筋が凍る思いをするのだった。彼らは無言で、二度とその山には近づかなかった。人形の呪いは、今もなお続いているのかもしれない。彼らの心の中で。
そして、次にその山に訪れる者が、何を目撃するのかは、誰にもわからない。
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