
昨年の冬、友人の家に向かう途中、田舎の細い山道を走っていたんです。時刻は午後9時頃、辺りは静寂に包まれていて、星空が広がっていました。私の愛車は小さなスクーターで、冷たい空気が頬を刺すようでした。
その時、道の脇に立っている一人の老人に気づきました。彼は薄暗いランプを手に持ち、何かを待っているかのように立ち尽くしていました。
その瞬間、急に不安が胸をよぎりました。道の脇には近くの村から外れた古い木々が立ち並び、周囲はまるで異世界のようでした。私は特にお構いなしに通り過ぎることにしましたが、ふと後ろを振り返ると、老人がまだこちらを見ていました。
その瞬間、彼はランプを空中に放り投げました。驚いてブレーキをかけた私は、急な動きでバランスを崩し、スクーターが横転してしまいました。幸い、周囲に車はおらず、私は無事でしたが、恐怖が身体を支配しました。
立ち上がると、再び老人を見ましたが、もう彼の姿はありませんでした。背筋がゾッとし、気味が悪い感覚が胸を締め付けます。周囲は静まり返り、ただ風の音だけが響いていました。
近くの村の宿に戻り、事情を話すと、村の人たちはその老人の話を始めました。「ああ、あの人は数ヶ月前に亡くなったよ。いつも同じ場所に立っていて、道を通る人に向かって何かを投げることで有名だったんだ。ひどい事故も起きていて、村では語り草になってる。」
その話を聞いて、私はゾッとしました。あの老人がかつてやっていたことが、私の身に降りかかるなんて…。彼が投げたのは、ただのランプではなく、恐怖そのものだったのかもしれません。彼の姿を見たこと、そしてその行動が今も私の心に深く残っています。あの時、もし事故に遭っていたら、どうなっていたのだろうと考えると、胸が締め付けられます。今でもその道を通ることは避けています。恐怖が忘れられないからです。
あの老人の存在が、今も私を脅かしているのです。
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