
真夜中の冬、私たちは冬休みを利用して、山道をバイクで駆け抜けることに決めた。友人の一人、健二は特にバイク好きで、自慢の旧型CBRを愛用している。私たちはその魅力に引かれ、一緒に夜のドライブを楽しむことにした。
真っ暗な山道を走りながら、健二が言った。「みんな、夜のドライブって怖いっていうけど、俺は好きだな。ここら辺には伝説があるし、ちょっとした冒険だろ?」
その話に乗って、私たちは少しテンションが上がり、バイクを加速させた。まるで夜の闇を切り裂くように走る感覚は、確かに刺激的だった。しかし、すぐに恐ろしいことが起こるとは思わなかった。
峠を越え、少し走ったところで、突然、前方に一台の古いバイクが見えた。健二はその姿に目を奪われ、「あれ、誰だ?」と呟いた。どうやらそのバイクは明らかに私たちのものではない。バイクはゆっくりと右に曲がると、消えてしまった。
「待てよ、見失った!」健二が言った。
私たちはそのまま追いかけることにした。だが、どれだけ走っても、そのバイクは見つからなかった。しばらくして、健二が「やっぱりおかしい、戻ろう」と言い出した。
振り返ると、何かが変わった気がした。あのバイクの影が、今度は私たちの後ろにいるような気配を感じたのだ。健二は急に不安になり、「おかしい、誰かいるのか?」と焦り始めた。
その時、突然、道の脇に立つ女性の姿が目に入った。白いジャケットにデニムのスカート、長い髪が風になびいている。彼女は微笑みながら手を振っていた。健二はその姿に魅了され、バイクを停めてしまった。
「おい、健二、行くぞ!」私は叫んだが、彼はその場に留まった。彼女はさらに手を振り、何かを呼ぶようにしている。健二はその姿に誘われ、ゆっくりと近づいていった。
「大丈夫ですか?」彼が声をかけると、返事はなかった。瞬間、彼女の姿が雲のように消えたかと思うと、健二は驚いたように後ろに飛び退いた。私もその場から逃げようとしたが、何かが私を引き留めるような感覚に襲われた。
「やっぱり行こう。何もないはずだ!」私たちはすぐにバイクに戻り、逃げるようにその場を離れた。
しかし、道を進むにつれ、彼女の影がまた現れた。先ほどとまったく同じように、今度は道の脇で立っていた。手を振るのではなく、こちらに手招きしているように見えた。その瞬間、私たちは心の底から恐怖を感じた。あれは何者なのか、何を求めているのか。
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