
長編
生霊の女性
続き期待 4日前
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気がした。
自分の間抜けさに少し笑えてきた。
「はは、なるほどね。そりゃあ違和感を感じるわけだよ。俺、なんで今までずっと気づかなかったんだろ。」
つい口に出てしまった。
「違和感?何言ってんだ?」
友人は訝しげな目で俺を見る。
その表情を見て、慌てて返答する。
「い、いや、なんでもないよ。ごめん、独り言!」
非常に不謹慎だと思う。
恐怖よりも、「幽霊が見れるかもしれない」という好奇心が勝っていた。
ドアへ向き直り、鍵を開けて中に入った。
「ただいまー、と。」
そう俺が言うと、
「お邪魔しまーす。」
と言って友人も入ってきた。
「ああ、悪い。入ったら、鍵閉めてもらえるかな?」
振り返り、友人に言った。
「了解〜…、あら?」
友人の動きが止まった。
「どした?鍵の位置わからん?」
そう質問を投げかけると、友人が振り返り、
「なんか、鍵、もう閉まってんぞ。俺が無意識に閉めたんかな?」
友人が不思議そうな顔をしている。
俺も首を傾げながら、
「あー、閉まってるなら、おーけー。最近、物騒だからね。」
そう言って、部屋へ友人を促した。
それから、友人と一緒にテレビを見たり、ゲームをしたり、各々自由に漫画を読んだり。
適当に過ごした。
その間、特に何も起こることはなかった。
やはり、違和感は部屋に入る前だけなんだなぁ。
時刻は23時になっていた。
「やっべ、風呂入ってねーじゃん、俺ら。入ってからゆっくりしようぜ。」
漫画に熱中してた俺は顔を上げて慌てて立ち上がった。
「あー、俺シャワーでいいよ。今日暑いし、湯船いらんっしょ。」
友人が言う。
「だな。ささっとお互いシャワー浴びてしまうか。」
そう言って先に友人にシャワーを譲った。
10分ほどで友人がシャワーを終えたので、続いて俺が風呂場に入る。
頭を洗い、次に体を洗おうとしたときに、
ドサッ
部屋から重たい荷物を下ろすような音がした。
「眠くなったら、部屋の隅にある布団を使ってくれー。」
声をかけたが、反応はない。
まあ、風呂場で反響してるだけで、聞こえはしないか。
仕方ないなぁ、と思いながら、腰にタオルを巻いて一旦部屋へ向かった。
「眠くなったら、部屋の…」
同じことを部屋に入ってから言おうとしたら、友人が部屋の真ん中でうつ伏せで寝ていた。
「おいおい、そんな態勢で寝たら、息できねーだろ。起きろって!
後日談:
- ちなみに今はきちんと会社員として生活しています。 IT系企業です。 ITの知識を一生懸命勉強して、なんとか会社員として採用されました。 一度、死にかけたような怪我をしたことが原因か分からないですが、「生きていなければ、何も選ぶことはできないな。」という考えが芽生えたのがきっかけで、自分で選択肢を探るようになったような気がします。 恐怖体験ではありましたが、自分の考えが良い方向に変わることができたのは良かったかもしれません。
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- 自分の事のようにドキドキして拝読。二人とも死ななくて良かったです。死んでしまってもただの事故で済まされてたから…匿名
- 大作だったけど結局女と子供の正体は分からず仕舞いか残念菜々氏