
長編
生霊の女性
続き期待 3日前
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る。
そんな気がした。
その通りだった。
廊下の吹き抜け部分に座っていた男の子が、そのまま吹き抜けのほうへ転倒してしまった。
あの小さい子には高いであろう吹き抜けの壁をよじ登ったのか…!クソ…!
考えてる暇は無く、全力で走って、吹き抜け部分の上によじ登って、男の子を掴んで廊下へと投げ飛ばした。
普段、こんな身体能力はない。
火事場の馬鹿力…なんだと思う。
「あ…っ」
投げ飛ばしたときに、丁度、体が入れ替わって、俺が吹き抜けに投げ出されていた。
嘘…だろ。
どうやったら、こうなるんだよ???
状況が理解できないまま、落下する際に視界の端に、「口元を釣り上げて笑う女性」が1つ下の階の吹き抜けに居たような気がした。
低い位置に伸びていた樹の枝が俺の喉を引っ掛け、2階下の吹き抜け廊下に落下した。
「ゴホッ…!」
喉の激痛で、うまく息が吸えなかった。
樹の枝を喉に引っ掛けたときに、首の皮がべろんと剥がれたらしい。
そのまま意識を失った。
その後、誰かが救急車を呼んでくれたのだろう。
次に気づいたときは、もう病院のベッドだった。
首の部分の皮が剥がれて、それなりに出血、全身打撲。
幸いにもその程度で済んだ。
ただ、首はデリケートだから、ということで検査も兼ねて1週間ほど入院した。
「舌を噛まなくて良かったね。あと、君、骨がすごい頑丈だね!」
医者のおじいちゃんからそんなことを言われた気がする。
この大怪我をした事と、当時のマンションの生霊。
関係があるかどうかは分からない。
見ていないから分からないけど、目の端に映った女性が同じ人物だったんじゃないか?そんなことを考えていた。
結局、生霊の正体は分かっていません。
情けない話ですが、怖くて調べる気にはなれませんでした。
もう15年以上も経ちますが、首の怪我をした後は特に心霊現象は体験しませんでした。
ただ、何かの節に守護霊鑑定のようなものをする機会があって、俺の守護霊は強力なものらしく、霊が見えないのはこの存在が全て霊的な現象をカットしているのでは?という意見を頂いたことはあります。
それも真偽は定かではありません。
後日談:
- ちなみに今はきちんと会社員として生活しています。 IT系企業です。 ITの知識を一生懸命勉強して、なんとか会社員として採用されました。 一度、死にかけたような怪我をしたことが原因か分からないですが、「生きていなければ、何も選ぶことはできないな。」という考えが芽生えたのがきっかけで、自分で選択肢を探るようになったような気がします。 恐怖体験ではありましたが、自分の考えが良い方向に変わることができたのは良かったかもしれません。
この怖い話はどうでしたか?
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- 自分の事のようにドキドキして拝読。二人とも死ななくて良かったです。死んでしまってもただの事故で済まされてたから…匿名
- 大作だったけど結局女と子供の正体は分からず仕舞いか残念菜々氏