
長編
生霊の女性
続き期待 2017年7月4日
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」
友人の体を起こした。
おか…しい…
呼吸が止まってる。
「え、え!?ちょっと、おい!おいってば!!」
激しく友人を揺さぶった。
「ハッ!…え、何?どした?」
何事も無かったように友人が眠そうな顔をこちらに向け、答えた。
「お前…息、止まってなかった…?」
動揺を隠しきれない様子で、俺は友人に問いかけた。
風呂で濡れていたからか、額から頬を伝って汗のように水が一滴落ちた。
「止まってねーよ。勝手に人を殺すな。…ってか、お前なんつー格好してんの?俺、男とやる趣味はねーぞ。」
俺の腰にタオルを巻いただけの姿を見て笑いながら友人は言う。
「んだよ…。人が心配したのに…。眠けりゃ、そこの布団勝手に使え!」
そう言って風呂場に戻った。
ささっとシャワーを浴び終え、部屋に戻ると、さっきまでが嘘のように漫画に熱中する友人が居た。
「ういー戻ったか。そろそろ寝る?明日バイトだっけ?」
と、友人が提案してくる。
「ああ、まあ、バイトは12時からだから、朝は余裕だけど、…寝とくか。」
布団を敷いて、友人をそこに寝かせ、自分はタオルケットを床に敷いて、そこに寝た。
一人暮らしなので、布団は一式しかない。今が初夏で良かった。
電気を消して暗くなった部屋の天井を見つめる。
「なんかさ、こうやって並んで寝てると、修学旅行みたいな感覚じゃね?」
と、友人がつぶやく。
「ああ、わかる。大抵、こういうふうに夜中話すとエロい話が中心になるのはなんでだろうな?」
「それな!あと、先生が見回りしてんじゃん。バレないように馬鹿話するのがクソ楽しかったなぁ。」
そんな修学旅行あるある話で盛り上がっていた。
ふと、急にテンションが静かになった友人が口にした。
「なあ。お前、これからどうすんの?」
短い問いかけだったが、大体何が言いたいか分かる。
友人は今は大学に通っている。
俺は専門を中退して、特にやりたいことも見つからず、就職活動もせず、とりあえず流れに身を任せてアルバイトをしてる。
「わからない。」
短く、そう返した。
「そっか。だよな。そりゃ分かんねえよな。」
友人が少し苦笑しながら返した。
俺は驚いていた。
やろうとしてることを途中で投げ出す中途半端野郎、とか、きちんと先のこと考えろよ、とかそういうのが来ると思ってた。
いや、実際、俺はそんな奴だ。
自分にとってハードルの高いことには極力挑戦せ
後日談:
- ちなみに今はきちんと会社員として生活しています。 IT系企業です。 ITの知識を一生懸命勉強して、なんとか会社員として採用されました。 一度、死にかけたような怪我をしたことが原因か分からないですが、「生きていなければ、何も選ぶことはできないな。」という考えが芽生えたのがきっかけで、自分で選択肢を探るようになったような気がします。 恐怖体験ではありましたが、自分の考えが良い方向に変わることができたのは良かったかもしれません。
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- 自分の事のようにドキドキして拝読。二人とも死ななくて良かったです。死んでしまってもただの事故で済まされてたから…匿名
- 大作だったけど結局女と子供の正体は分からず仕舞いか残念菜々氏