
数年前の冬、私は転職で静岡に移り、営業職として働いていました。静岡は温暖な気候で、富士山が望める美しい場所です。仕事の合間に県内を駆け巡る日々を送っていましたが、ひとつだけ避けたい場所がありました。それは湖畔にある古い神社でした。
その神社は、地元では「祟り神の社」として知られ、近づく者には不幸が訪れるという噂が立っていました。湖の水面は静かですが、底には多くの人の未練が沈んでいると聞き、昼に通っても何となく気分が悪くなっていました。
ある冬の夜、営業先での仕事が終わったのは22時を回っていました。帰り道、高速道路を選ぶか、この神社の近くを通るか迷いましたが、経費削減のために神社の方を選びました。
途中、強い腹痛に襲われ、神社近くのドライブインのトイレに駆け込んだ後、車に戻りました。エンジンをかけて出発しようとしたその時、突然、背後から冷たい手が私の肩を掴みました。
振り向くと、そこには白い着物をまとった女性の霊が立っていました。彼女の目は無表情で、私をじっと見つめていました。驚いて大声を上げそうになりましたが、思い直し、心の中で祈りを唱えると、不思議と彼女は消えていきました。
その瞬間、恐怖が全身を襲いました。結局、帰宅してからもあの冷たい手の感触が忘れられず、今でもその神社のことを思い出すたびに背筋が凍ります。奇妙なことに、あれ以来、私の仕事には何の問題も起こっていませんが、心のどこかでその霊に感謝している自分がいるのです。彼女が私を選んだのか、それとも何か理由があったのか、今でも謎です。何が起こったのか、考えるたびに恐ろしさが蘇ります。何が本当なのか、誰にもわからないのです。
その神社は今でも生きていて、私の心の中で、静かに祈っているのかもしれません。恐ろしい体験が、今も私の記憶に刻まれています。
その夜、私は自分の中に何が起こったのか、一生懸命に考え続けるのです。
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