
30代の頃、古びたマンションに住んでいた。
隣の部屋からは夜な夜な奇妙な声が聞こえ、下の住人はたまに大声で騒いでいた。冬の寒い夜、私は一人で暖かいスープを作っていると、突然隣から「やめてくれ!」という声が聞こえた。
驚いてドアを開けると、隣人の男性が顔を真っ赤にして立っていた。
「お前、あの音を止めろ!」と彼は怒鳴る。
驚いた私は、「私は何も音を立てていませんよ」と返したが、彼は逆に「嘘だ!あの声が聞こえるんだ!」と叫ぶ。
しばらく言い合いになった後、彼は私の部屋を見せてほしいと言ってきた。
仕方なく部屋を見せると、彼は私の中の物音を気にする様子もなく、何かを探しているようだった。
その時、ふと耳にしたのは、隣の部屋から聞こえる「ざわざわ」という音だった。音の正体が気になり、私は思わず部屋の奥を見てしまった。
すると、そこには黒い影がうごめいていた。音はその影から発せられているようだった。恐怖で動けない私の目の前で、隣人は何か呪文のようなものをつぶやいた。すると、影は静かになり、ゆっくりと消えていった。
「これで大丈夫だ」と隣人は微笑み、帰っていった。
翌日、私はお礼の意味を込めてスイーツを持って彼の部屋を訪ねたが、ドアを開けた彼は「昨日はすまなかった」と言い、逆にお菓子をくれた。あの彼が本当に何者だったのか、今でも思い出すと背筋が凍る。彼はただの隣人ではなかったのかもしれない。
その後も音は聞こえ続け、私は再び夜中に不安を抱えたまま目を閉じるのだった。
あの声と影は、今も私の記憶の中で生き続けている。
何かが、私を見ているかのように。
冬の夜、静寂の中に響くその声を、私は忘れられない。
何が本当で、何が幻だったのか、もうわからなくなっている。
影は、いつも私のそばにいる。
それが、あの頃の真実なのか。
私は、恐怖を覚えながらも、彼の声を思い出す。
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