
私たち兄妹は、大学進学を機に古びたマンションに引っ越しました。新しい環境に胸を躍らせていたものの、引っ越してきたその晩、何か不穏な空気を感じました。
部屋は2階にあり、狭いながらも明るく、日差しが差し込む居心地の良い場所です。しかし、何かが違うと感じました。夜になると、周囲の音が静まり返り、冷たい風が窓を叩く音が耳に残ります。特に、その部屋の壁紙が赤いことが気になりました。今まで住んでいたところにはなかった色合いで、どこか不気味です。
数日後、妹がその部屋に一人で過ごしていたときに、妙な声を耳にしたと言いました。「あの壁、赤いからだめだね」と、誰かが囁いたように聞こえたそうです。妹は怯えて私にそのことを話しましたが、私は冗談だと思って取り合いませんでした。
しかし、次第に私もその声を聞くようになりました。冷たい風とともに、耳元でささやかれる声。声は次第に明瞭になり、「本当は白じゃないといけないのにね。でも真っ赤だね」と繰り返すのです。私たちは恐怖に駆られ、部屋のシャッターを閉めることにしました。
ある晩、夢を見ました。夢の中で私たちはかつての家で家族と楽しく過ごしていました。笑い声が響き、幸せな日々が戻ったような感覚。しかしその時、夢の中にも赤い壁が現れ、そしてあの声が再び聞こえてきたのです。目が覚めた時、私は背筋が凍る思いをしました。
その後、妹は突然体調を崩し、学校を休むことが続きました。私も不安に駆られ、あの部屋を避けるようになりました。ある日、父が泊まりに来た際、彼はその部屋に入りたがりませんでした。「何かがいる」と言ったのです。
結果的に、私たちはその赤い部屋を避けることにしました。それ以来、妹の体調は改善し、私たちの生活も落ち着きを取り戻しました。あの声が何だったのか、未だに謎のままですが、家族全員がその部屋には近づかないことを決めたのは確かです。今でも時折思い出すたび、背筋が凍るのを覚えます。
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