
雪が静かに降り積もる山奥の小屋。仲間たちと共に集まったのは、冬の長い夜を楽しむためだった。話題は自然と怪談へと移り、誰かが持ち寄った古びた日記が手渡された。
「これ、どうやらこの近くで昔起きた事件の記録らしいよ」と、友人の一人が言った。
日記の中には、山での奇妙な出来事が綴られていた。ある登山者が、道に迷い、夜中に何かの声を聞いたという。その声は、彼に「帰れ」と囁いたらしい。彼は恐怖に駆られ、逃げ出そうとしたが、結局何も見つけられず、行方不明となったという。
その話を聞いた他の友人たちは、興味深そうに耳を傾けていたが、私はどこか不安を覚えていた。まるで、周囲の静けさが不気味な緊張感を醸し出しているかのようだった。
「その声、実際に聞いたことあんの?」と一人が尋ねると、日記の最後には「声が聞こえたら、決して振り返ってはいけない」と書かれていた。私たちの間に微妙な空気が流れる。
その時、外から何かが動く音が聞こえた。皆が一斉に窓を見つめると、雪の中に何かが立っているのが見えた。暗闇の中、ゆっくりとこちらに近づいてくる。
「だ、誰かいるのか?」と声をかけるが、返事はなく、ただ静かに足音だけが響く。恐怖が一瞬にして小屋を満たし、私たちは恐る恐る後退した。
その瞬間、日記に書かれていた「決して振り返ってはいけない」の意味が理解できた。声が、私たちの耳元で囁くのを感じたからだ。「振り向いたら、あなたたちも…」
最後に、私たちは全員で小屋を飛び出し、雪の中を走り抜けた。振り返ったのは、まさにその瞬間、後ろに何かが迫っているのを見たからだ。
結局、私たちは無事にその小屋を離れ、山を下りた。だが、心の奥には不安が残った。後日、日記を持っていた友人が消えた。彼の行方を捜すために戻ったが、小屋はもう存在しないようだった。あの夜の出来事が、実際に何だったのかは、今もわからないままだ。
声は、確かに存在していたのだろうか?それとも、私たちの心の中に潜む恐怖が形を変えたものなのか?
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