
数年前、私は精神的な問題で入院していた。あの冬の夜、病院は静まりかえっていた。私は二人部屋の窓際のベッドに寝ていた。点滴を受けながら、時折訪れる看護師の声だけが響いていた。
入院してから数日、夜のことが気になり始めていた。毎晩、同じ時間に誰かが私の部屋に入ってくるのだ。最初は気のせいだと思っていたが、次第にその存在が確信に変わっていった。
その夜も、午前3時頃、尿意で目を覚ました。トイレへ向かう途中、廊下の明かりが薄暗く、心細さが胸を締め付ける。人影を感じながらも、私はトイレに急いだ。用を足している間、背後で何かが動く音がした気がしたが、振り返る勇気はなかった。
部屋に戻ると、やはりそこには誰もいない。だが、目を凝らすと、カーテンの隙間から不気味な影が見える。その瞬間、私は背筋が凍る思いをした。影は確かに私の方に近づいてきている。心臓が早鐘のように打ち、逃げ出すこともできない。
「助けて」と心の中で叫ぶも、声にならない。影はカーテンを持ち上げ、私のベッドのそばに立っている。息を飲んだその瞬間、影は私の顔を覗き込み、冷たい声で囁いた。「お前も、ここに来るのか?」
次の瞬間、意識が途切れた。気がつくと朝を迎えていた。結局、あれは夢だったのか、それとも現実だったのか。だが、あの冷たい視線と声は、今でも私の心に恐怖を刻み込んでいる。忘れられない出来事だ。
その後、私は病棟を退院したが、あの影の存在を思い出すたびに、胸が締め付けられるような感覚に襲われる。あの病院には、もう二度と戻りたくない。
今でも時折、夢に出てくるその影。あの夜の出来事は、私の人生に影を落とし続けている。
あの病院には、私以外にも何かが残っているのだろうか。
私はただ、あの影が再び現れないことを祈るばかりだ。
「お前も、ここに来るのか?」その言葉が、今も耳に残っている。
どうか、誰か助けて。
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