
数年前、廃墟として知られる施設へ行ったときの話だ。
特にやりたいこともない俺と友人のYは、たまたま連休が重なり、何をするか迷っていた。そんな時、Yがふと提案した。
「なぁ、廃屋に行ってみないか?噂の赤い布を探そうぜ。」
その提案は、まあ最低なもので、結局俺たちがつまらない日常から逃げ出したい一心だった。人知れず消えていった人たちの事情に触れることで、自分たちはまだマシだと感じたかったのだろう。
まずは必要な道具を買いに行き、懐中電灯やロープを揃えた。目的は怪しいけれど、興奮で胸が高鳴る。廃屋に入ると、周りの静けさが心地よかった。
だが、Yはすぐに赤い布を探し始めた。2、3時間探索した後、少し休憩を取るために古いソファに腰を下ろした。周りは埃にまみれ、薄暗い光が漏れ込む。
その時、Yが急に立ち上がり、何かを見つけたように駆け出した。俺は呆然と彼の後ろを見送った。しばらくして、Yの声が聞こえた。「こっちだ!」
声の方向へ行くと、Yは何かを指差していた。視線の先には、赤い布がぶら下がっているのが見えた。
「やった、見つけた!」
だが、喜びの瞬間はすぐに消えた。布の下には、無惨な状態で横たわる人形のような物があった。焦げた皮膚、目は空洞で、口は開いたまま。
「うわっ、やべぇ…」
俺は背筋が凍り、好奇心が恐怖に変わった。Yも興奮していたが、俺は罪悪感が押し寄せてきた。
「ちょっと、布を持ってきた方がいいんじゃないか?」
Yは頷き、取りに戻ろうとした。しかしその時、俺は耳にした。背後から聞こえた声。「おーい、ここだぞー」。
振り返ると、数メートル先に人影が見えた。男が手を振っている。薄暗い中でその姿は異様に大きく見えた。
「Y、あれは…」
俺が言い終わる前に、Yは俺の腕を掴んで走り出した。「行くぞ、早く!」
「何があったんだ?」
振り返ると、男がまだ手を振っている。俺はその手が異常に長いことに気づいた。だが、Yは無視して逃げ続けた。
数分後、ようやく出口が見えてきた。Yは荷物を拾おうと立ち止まったが、俺はそれを許さなかった。「行こう、早く!」
廃屋を出て、車に乗り込むと、Yは不安そうにバックミラーを覗いていた。
「お前、あの男を見たか?」
「見たけど…」
「腕が無かったんだよ…」
俺は心臓が止まる思いだった。あの長い腕は、何か別のもののようだった。
「気づいたから、逃げたんだ。」Yの声は震えていた。
「何が追ってきたんだ?」
後日談:
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