
あれは大学二年の秋のことだった。授業が終わった俺は、急いで帰るために普段通らない路地裏を選んだ。この辺りは人通りが少なく、周囲は暗い。街灯もまばらで、やや不気味な雰囲気が漂っていた。普段なら友達と一緒に帰るのだが、今日は一人だったため、心細さが増していた。
すると、前方の街灯の下に小さな人影が見えた。近づくにつれて、それが老婆であることがわかった。彼女は風呂敷包みを持っており、目は虚ろで、どこか不気味な印象を与えた。
「こんばんは、若いの。」
「こんばんは…」
不意に老婆が声をかけてきたので、驚いて言葉が詰まった。彼女の表情は生気が無く、まるで人形のように見えた。
「この包み、重くてね。ちょっと手伝ってくれないかしら?」
老婆はそう言って、風呂敷包みをこちらに差し出してきた。何となく怖い気持ちになりながらも、俺は「途中までなら」と言って受け取った。触れると、包みはひんやりと湿っていて、何か不吉な予感がした。
「うわっ、なんだこれ…」
包みの中には、何かの液体が染み出している。気持ち悪くなりながらも、老婆と並んで歩き続けた。
しばらく歩くと、分かれ道に差し掛かった。俺は早く逃げ出したくて、適当に挨拶をして別れた。だが、その後振り返ると、驚くことに先ほどの老婆がこちらを見ていた。まさかと思い、俺は再び別の道を選んだが、すぐにまた老婆が現れた。なぜこんなに早く追いついてくるのか理解できなかった。
「あなた、逃げないで。」
老婆が囁くように言い、再び近づいてきた。俺は恐怖で足がすくみ、動けなくなった。すると、老婆は風呂敷を開いて、中から不気味なものを取り出した。そこには、目や舌のようなものが混ざり合った、グチャグチャの塊があった。ひとしきり驚愕した後、俺は悲鳴を上げて逃げ出した。
その夜以降、あの老婆に再会することはなかったが、その夢は何度も見た。あの包みの中身が何だったのか、そして老婆の正体は誰だったのか、未だに謎のままである。
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