
大学生だった私が、ある日の秋の夕暮れ、無口で神秘的な先輩に誘われて、廃墟となった古い神社を訪れた。 その神社は、山の奥深くにひっそりと佇んでおり、周囲には木々のざわめきしか聞こえない静寂が漂っていた。お参りをした後、先輩が持っていた古いお守りを私に見せてくれた。「これ、ずっと持っておくといいことがある」と言ったが、どこか不気味な雰囲気が漂っていた。 先輩は、神社の伝説を語り始めた。「この神社には、神々が住んでいて、彼らは時折、白い影として現れることがある。もしその影を見たら、幸運が訪れると言われている。」その言葉を聞いた瞬間、私は不安に襲われた。 その日、私たちは特に何も起こらなかったが、帰ってから何気なく先輩の言葉を思い出し、古いお守りを持っていると、なぜか急に宝くじを買いたくなった。結果、見事に当選!小さな額だったが、何かが変わった気がした。 だが、数日後、先輩が「お礼参りに行こう」と言い出した。再度その廃墟へ行くことになった。期待に胸を膨らませながらも、心のどこかで不安を感じていた。再び神社に着くと、周囲の木々が妙にざわざわと揺れていた。先輩はお守りを持ち、何かを呟いていた。私はその様子を見ていると、突然、白い影が視界の端に現れた。驚いて振り向いたが、そこには誰もいなかった。 先輩は微笑み、私に言った。「神々は、あなたの欲望を見透かしている。お金を求める心は、彼らに嫌われる。」その瞬間、冷たい風が吹き抜け、私の心に恐怖が広がった。私の心の中に潜む欲望が、神々の怒りを買ったのだと感じた。 その後、私の周りでは次々と不幸が起き始めた。友人が事故に遭い、家族の健康も崩れ始めた。欲しいものを得た代わりに、私は大切なものを失っていった。お守りを捨てたが、もう遅かった。神々の目は、私を見つめ続けていた。 何かを得るためには、何かを失うということを、肝に銘じるべきだった。今もその影は、私の心の中で蠢いている。
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