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ひとつ下の階の閉鎖されたレストランの笑い声

観光地の海辺にあるタワーでの出来事。
雪積もる冬の曇った空の日。
その観光地は真冬だからか、あるいは昔よりも客足が遠のいたからかタワーやその周辺は寂れていた。
1階の受付で入場券を買い、エレベーターで最上階の展望室に向かう。
このタワーでは1階からエレベーターで最上階に上がっていく。
エレベーターは1階と最上階以外には止まらないようになっていた。
俺はエレベーターに1人で乗っていて、エレベーターに窓などはなかった。
最上階につく前、ひとつ下の階層で女の笑っているような声が聞こえてきた。
このタワーの最上階は二層になっていて、ひとつ下の階のレストランで談笑している人たちがいるのかなって思っていた。
最上階につくと、そこは静かで他に誰もいなかった。
声や物音が何も聞こえないことに少し違和感を感じながらも、外の景色に釘付けだった。
雪の大地と鉛のような色の海、曇りの空がまたいい味を出していた。
俺は最上階で通路をぐるっと一周したときのこと。
そこには、ひとつ下の階に向かう階段があるのだが、ひとつ下の階のレストランはもう閉鎖されたのか、階段の通路が途中に鎖で閉ざされ下に行けないようになっていた。
扉などはなく下の階の一部が少し見える。
しばらく様子を伺っていたが、下の階から声や物音は何ひとつ聞こえない。
俺がさっき聞いたエレベーターの外から聞こえた笑い声はなんだったのか。
帰り道、恐る恐るエレベーターに乗ってみたが帰りは何ともなかった。
俺は、昼間とはいえ背筋が少し寒くなりながらタワーを後にした。
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