
冬の寒い夜、友人に誘われて無人の浜に行くことになった。彼は釣りに夢中で、静かな海を眺めながらその誘いに乗った。浜に着くと、波の音だけが響く中、他には誰もいない。友人は釣りに集中している様子で、私はただ海を見つめていた。
しばらくして、遠くの海で何かが動いているのに気づいた。それは最初、大きな船かと思ったが、近づくにつれ人の手のような形が見えてきた。まるで私たちに向かって「おいで」と手招きしているようだった。寒気が走り、友人にそのことを尋ねるが、彼には何も見えないらしい。
その時、突然「おおい、おおい」という声が聞こえてきた。低い男の声で、まるで海から直接響いてくるようだった。私は恐怖を感じながらも、友人に再度その声を伝えるが、彼は波の音だと笑っている。耐えられなくなり、イヤホンを耳に押し込んで音楽を聴いたが、声は後ろから再び聞こえた。振り向いても誰もいない浜には、ただ静まり返った海が広がっている。
「もう帰ろうよ」と言ったが、友人は「もう少しだけ」と言って釣りを続ける。やがて、他の釣り人が近づいてくるのが見えた。その男は「おおい」と声をかけてきたが、その顔は目も鼻も口もなく、ただの白い肌だった。私たちは恐怖に駆られ、急いで車に戻り、浜を離れた。
その後、サービスエリアで一夜を明かし、帰宅したのは翌朝。疲れ果てた私はそのまま布団に入ったが、友人からの連絡で何が起こったのかを知ることになる。彼はあの釣りスポットを教えてくれた人に相談したところ、あの浜では時折、不可思議な声や影が現れることがあると言われた。友人はその体験以来、夜の浜へは近づかなくなった。
私もまた、夜の海には何か恐ろしいものが引き寄せられているのだという思いを強くし、無人の浜には決して近づかないことを誓った。どんなに魅力的に見えても、そこには生きている人間ではない存在が待ち受けているかもしれないのだ。気をつけなければならない。
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